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特定疾患治療管理料の外来栄養食事指導料1、外来栄養食事指導料2での医療機関への厚生局の指摘事項(医科)、算定留意事項のコラムです。

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保険診療での指摘事項(25):外来栄養食事指導料

医療機関への個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼頂き、指導監査に対応しています。

個別指導・監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、医科の医療機関の保険診療に関して、特定疾患治療管理料の外来栄養食事指導料1、外来栄養食事指導料2での確認事項、個別指導での指摘事項、算定要件、算定留意事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省の医療指導監査室の保険診療確認事項リスト(医科)令和6年度改訂版ver.1に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取り扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる可能性があることに注意が必要です。

なお、厚生局の個別指導、新規個別指導に臨む保険医である医師の方は、まずは以下のコラムをご覧いただくことをお勧めします。

【コラム】1 厚生局の個別指導、監査と弁護士の同席

     2 厚生局の新規個別指導の手続きの概要


外来栄養食事指導料(1・2)の指摘事項


 1 外来栄養食事指導料の不適切な算定

管理栄養士以外の者が指導したものについて算定している。

特別食を保険医療機関の医師が必要と認めた者、がん患者、摂食機能又は嚥下機能が低下した患者、又は低栄養状態にある患者以外の患者に対して算定している。

必要に応じた食事計画案等の交付をしていない。

栄養指導記録を作成していない。

指導内容の要点について栄養指導記録への記載が[ない・個々の患者の状態に応じた記載になっていない・不十分である]。

指導時間について栄養指導記録への記載が[ない・不適切である]。

初回の外来栄養食事指導について、療養のため必要な栄養の指導を行った時間が「概ね30分以上」ではないにもかかわらず、算定している。

2回目(以降)の外来栄養食事指導について、療養のため必要な栄養の指導を行った時間が「概ね20分以上」ではないにもかかわらず、算定している。

管理栄養士への指示事項に、熱量・熱量構成、蛋白質、脂質その他の栄養素の量、病態に応じた食事の形態等に係る情報のうち、医師が必要と認めるものに関する具体的な指示が含まれていない。

診断根拠のない傷病名を付与し、対象疾患として指導を行い算定している。

外来栄養食事指導料1について、当該保険医療機関の管理栄養士以外の者によって指導したものについて算定している。

外来栄養食事指導料1(2)@について、外来化学療法を実施している悪性腫瘍の患者に対して、外来化学療法室を担当する管理栄養士が月2回以上の指導を行っていないにもかかわらず算定している。

外来栄養食事指導料1(1)A(2)A、外来栄養食事指導料2(1)A(2)Aについて、電話又は情報通信機器等による指導の実施に当たって、事前に対面による指導と電話又は情報通信機器等による指導を組み合わせた指導計画が作成されていない。

外来栄養食事指導料2について、要件を満たさない管理栄養士が行った指導について算定している。

【コメント】
外来栄養食事指導料に関して、食事計画案等を必要に応じて交付すればよいこととされているが、初回の食事指導や食事計画を変更する場合等においては、患者の食事指導に係る理解のために食事計画等を必ず交付する必要があるとされています。

さらに、外来栄養食事指導料に関して、同一の保険医療機関において、ある疾病に係る治療食の外来栄養食事指導を継続的に実施している患者について、医師の指示により、他の疾病の治療食に係る外来栄養食事指導を実施することとなった場合、「初回」の指導料を新たに算定することはできず、同一の保険医療機関において診療を継続している患者については、他の疾病に係るものであるかにかかわらず、「初回」の外来栄養食事指導料を算定できるのは1回に限られ、なお、当該保険医療機関における診療(複数の疾病について診療を受けている場合はその全ての診療)が終了した後に、他の疾病の診療を開始し、当該疾病に係る外来栄養食事指導を実施した場合には、「初回」の指導料を新たに算定することができるとされています。

また、外来患者が自ら診療を中止した後に数か月以上にわたり受診せず、新たに別の疾病で診療を開始し、当該疾病に係る外来栄養食事指導を実施した場合も、当該保険医療機関における診療(複数の疾病について診療を受けていた場合はその全ての診療)が終了したと医師が判断し、医師の指示により新たな疾病についてのみ外来栄養食事指導を行う場合は、「初回」の指導料を算定できるとされていますので、留意が求められます。

参考:外来栄養食事指導料に関する留意事項通知(令和6年3月5日)
第1部 医学管理等
 第1節 医学管理料等
<特定疾患治療管理料>
9 外来栄養食事指導料
(1) 外来栄養食事指導料(「注2」及び「注3」を除く。)は、入院中の患者以外の患者であって、別に厚生労働大臣が定める特別食を保険医療機関の医師が必要と認めた者又は次のいずれかに該当する者に対し、管理栄養士が医師の指示に基づき、患者ごとにその生活条件、し好を勘案した食事計画案等を必要に応じて交付し、初回にあっては概ね30分以上、2回目以降にあっては概ね20分以上、療養のため必要な栄養の指導を行った場合に算定する。
ア がん患者
イ 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者
ウ 低栄養状態にある患者

(2) 特別食には、心臓疾患及び妊娠高血圧症候群等の患者に対する減塩食、十二指腸潰瘍の患者に対する潰瘍食、侵襲の大きな消化管手術後の患者に対する潰瘍食、クローン病及び潰瘍性大腸炎等により腸管の機能が低下している患者に対する低残渣食、高度肥満症(肥満度が+40%以上又はBMIが30以上)の患者に対する治療食並びにてんかん食(難治性てんかん(外傷性のものを含む。)、グルコーストランスポーター1欠損症又はミトコンドリア脳筋症の患者に対する治療食であって、グルコースに代わりケトン体を熱量源として供給することを目的に炭水化物量の制限と脂質量の増加が厳格に行われたものに限る。)を含む。ただし、高血圧症の患者に対する減塩食(塩分の総量が6g未満のものに限る。)及び小児食物アレルギー患者(食物アレルギー検査の結果(他の保険医療機関から提供を受けた食物アレルギー検査の結果を含む。)、食物アレルギーを持つことが明らかな16歳未満の小児に限る。)に対する小児食物アレルギー食については、入院時食事療養(T)又は入院時生活療養(T)の特別食加算の場合と異なり、特別食に含まれる。なお、妊娠高血圧症候群の患者に対する減塩食は、日本高血圧学会、日本妊娠高血圧学会等の基準に準じていること。

(3) 管理栄養士への指示事項は、当該患者ごとに適切なものとし、熱量・熱量構成、蛋白質、脂質その他の栄養素の量、病態に応じた食事の形態等に係る情報のうち医師が必要と認めるものに関する具体的な指示を含まなければならない。

(4) 管理栄養士は常勤である必要はなく、要件に適合した指導が行われていれば算定できる。

(5) 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者とは、医師が、硬さ、付着性、凝集性などに配慮した嚥下調整食(日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類に基づく。)に相当する食事を要すると判断した患者をいう。

(6) 低栄養状態にある患者とは、次のいずれかを満たす患者をいう。
ア GLIM基準による栄養評価を行い、低栄養と判定された患者
イ 医師が栄養管理により低栄養状態の改善を要すると判断した患者

(7) 外来栄養食事指導料1は、保険医療機関の管理栄養士が当該保険医療機関の医師の指示に基づき、指導を行った場合に算定する。
 また、外来栄養食事指導料2は、当該診療所以外(公益社団法人日本栄養士会若しくは都道府県栄養士会が設置し、運営する「栄養ケア・ステーション」又は他の保険医療機関に限る。)の管理栄養士が当該診療所の医師の指示に基づき、指導を行った場合に算定する。

(8) 外来栄養食事指導料(「注2」及び「注3」を除く。)は初回の指導を行った月にあっては1月に2回を限度として、その他の月にあっては1月に1回を限度として算定する。ただし、初回の指導を行った月の翌月に2回指導を行った場合であって、初回と2回目の指導の間隔が30日以内の場合は、初回の指導を行った翌月に2回算定することができる。

(9) 「注2」については、「B001−2−12」に掲げる外来腫瘍化学療法診療料の注8に規定する連携充実加算の施設基準を満たす外来化学療法室を担当する管理栄養士が外来化学療法を実施している悪性腫瘍の患者に対して、具体的な献立等によって月2回以上の指導をした場合に限り、指導の2回目に外来栄養食事指導料の「イ」の「(2)」の「@」を算定する。ただし、当該指導料を算定する日は、「B001−2−12」に掲げる外来腫瘍化学療法診療料を算定した日と同日であること。
 なお、外来栄養食事指導料の留意事項の(1)の初回の要件を満たしている場合は、外来栄養食事指導料の「イ」の「(1)」の所定点数を算定できる。

(10) 「注1」に規定する「イ」の「(2)」の「@」、「注2」に規定する「イ」の「(2)」の「@」及び「注3」に規定する指導料は、同一月に併せて算定できない。

(11) 「注3」については、専門的な知識を有した管理栄養士が医師の指示に基づき、外来化学療法を実施している悪性腫瘍の患者ごとにその生活条件、し好を勘案した食事計画案等を必要に応じて交付し、療養のため必要な指導を行った場合に算定する。患者の症状等に応じ、対面又は電話若しくはビデオ通話が可能な情報通信機器等(以下この区分において「情報通信機器等」という。)による指導のいずれを選択することも可能であるが、情報通信機器等を用いる場合は、(12)と同様の対応を行うこと。

(12) 「注4」及び「注6」については、以下の要件を満たすこと。
ア 管理栄養士が(1)の患者に対し、情報通信機器等を活用して、指導を行うこと。
イ 外来受診した場合は必ず対面にて指導を行うこと。
ウ 情報通信機器等による指導の実施に当たっては、事前に対面による指導と情報通信機器等による指導を組み合わせた指導計画を作成し、当該計画に基づいて指導を実施する。また、外来受診時等に受診結果等を基に、必要に応じて指導計画を見直すこと。なお、当該保険医療機関を退院した患者に対して、初回から情報通信機器等による指導を実施する場合は、当該指導までの間に指導計画を作成すること。
エ 当該指導において、患者の個人情報を情報通信機器等の画面上で取り扱う場合には、患者の同意を得ること。また、厚生労働省の定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等に対応していること。加えて、情報通信機器等による指導の実施に際しては、オンライン指針を参考に必要な対応を行うこと。
オ 情報通信機器等による指導は、原則として当該保険医療機関内において行うこと。なお、当該保険医療機関外で情報通信機器等による指導を実施する場合であっても上記「エ」に沿った対応を行うとともに、指導を実施した場所については、事後的に実施状況が確認可能な場所であること。

(13) 「イ」の「(1)」の「@」については「イ」の「(1)」の「A」と、「イ」の「(2)」の「@」については「イ」の「(2)」の「A」と、「ロ」の「(1)」の「@」については「ロ」の「(1)」の「A」と、並びに「ロ」の「(2)」の「@」については「ロ」の「(2)」の「A」と同一月に併せて算定できない。

(14) 「注4」及び「注6」の指導を行う際の情報通信機器等の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。

(15) 外来栄養食事指導料を算定するに当たって、管理栄養士は、患者ごとに栄養指導記録を作成するとともに、指導内容の要点、指導時間(「注2」及び「注3」を除く。)及び指導した年月日(「注4」及び「注6」に限る。)を記載すること。

(16) 「注2」の場合、指導した年月日を全て診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。



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医療機関・医師への指導、監査のコラム


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 1 個別指導と監査の対応法

1  医療機関への厚生局の個別指導の対応法

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1  指摘事項のコラム一覧

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4  指摘事項(17):特定薬剤治療管理料1

5  指摘事項(18):特定薬剤治療管理料2

6  指摘事項(19):悪性腫瘍特異物質治療管理料

7  指摘事項(20):小児特定疾患カウンセリング料

8  指摘事項(21):小児科療養指導料

9  指摘事項(22):てんかん指導料

10 指摘事項(23):難病外来指導管理料

11 指摘事項(24):皮膚科特定疾患指導管理料

12 指摘事項(25):外来栄養食事指導料

13 指摘事項(26):入院栄養食事指導料

14 指摘事項(27):集団栄養食事指導料

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