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個別指導(厚生局)の実例のコラムです。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関・保険医の取消の実例(1):厚生局の個別指導(情報提供)

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個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


厚生局の個別指導、監査の公表された実例を、弁護士鈴木のコメント・解説と共にご紹介します。

ここでは、不正請求の情報提供で厚生局の個別指導となり、厚生局の個別指導で医師から明確な回答がなく指導が中断とされ、その後、厚生局が個別指導を再開したところ医師が不正請求を認めたため個別指導を中止し監査の実施となり、架空請求、付増請求、振替請求、二重請求などで指定の取消相当となった保険医療機関の実例(不正請求での取消相当)を、弁護士のコメント・解説付きでご紹介します。近畿厚生局の平成28年6月付けの取消相当の実例であり、説明のため、事案の簡略化等をしています。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、厚生局の指導監査の基本的な流れ、実施状況など記載していますので、まずはこちらのコラム厚生局の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。


厚生局指導監査課への不正請求の情報提供


 1 個別指導、監査に至った経緯

1 厚生局への不正請求の情報提供

平成25年7月31日、匿名の者から近畿厚生局指導監査課に対し、@薬剤情報に係る文書を提供していないにもかかわらず、薬剤情報提供料を請求している、A定期的に薬のみ受け取りにくる患者に診察せずに調剤し、再診料等を請求している、B実際には月1回の診療で28日分の調剤をしているにもかかわらず、月2回の診療とし、14日分ずつ調剤したものとして再診料等を請求している、C実際に受診した患者に、患者の知人の薬剤も合わせて調剤のうえ手渡したにもかかわらず、知人を診察したものとして再診料等を請求している旨の情報提供があった。

【コメント】
厚生局の個別指導の実施は、いわゆる高点数や再指導によることもありますが、患者や退職したスタッフ、保険者などからの不正請求の情報提供により、実施されることもしばしばあります。情報提供での厚生局個別指導の場合に、選定された具体的な理由や誰が情報提供を行ったかについては、あたりなどがつくケースとつかないケースの両方があります。あたりがつけば、その内容を念頭に厚生局の個別指導に臨むことになります。患者や退職したスタッフ、保険者などとトラブルになっており、厚生局に情報提供する旨の通告などがなされていれば、そこからの情報提供の可能性を検討することになります。

本ケースでは、情報提供の内容が多様であり、クリニックの内部者、具体的には退職したスタッフからの情報提供である可能性が十分あると思われます。上記の情報提供内容によれば、文書提供をしておらず、診察せず調剤し再診料等を請求しており、14日分ずつ調剤したものとして再診料等を請求しており、患者の知人について架空請求もしており、このような情報提供があれば、情報提供の真実性を総合的に勘案の上、厚生局は、個別指導、監査の枠組みでの事実関係の確認を検討するものと思われます。

なお、情報提供があれば必ず個別指導が実施される、というわけではありません。厚生局としては、情報提供者が匿名か、立場・名前を明らかにしているか、提供内容の信ぴょう性はあるか、裏付けの証拠はあるか、他にも不正請求の情報提供等あるかなど、総合的に勘案の上、マンパワーから個別指導を厚生局が実施できる件数に制限があるため、必要性が高いと判断したものについて個別指導を実施しているものと考えられます。

2 厚生局の個別指導の実施、中断

平成26年12月17日、個別指導を実施したところ、指導対象患者の診療録の一部について持参がなかった。また、医薬品の納品伝票又は請求書から購入実績が確認できない医薬品について、医師から明確な回答が得られなかったため、個別指導を中断した。

【コメント】
情報提供による個別指導(厚生局)の場合、通常、いわゆる高点数個別指導での教育的な指導もなされますが、メインは、不正請求の情報提供があった部分の確認となります。確認した結果、不正請求の疑義が解消されず、更なる検討が必要と厚生局側が判断した場合は、個別指導が本ケースのように中断となることが通例です。重大な不正請求で裏付け証拠が十分ある場合などは、厚生局の個別指導の開始の時点で、最初から中断が予定されていると思われるケースもあります。

厚生局は、情報提供の内容や信ぴょう性など、慎重に総合的に判断の上で、個別指導の対象を選定していると感じます。情報提供で個別指導となった場合、個別指導に選定された相応の理由・根拠が厚生局側にあると考えるべきです。

3 個別指導の中止、監査

平成27年3月11日、個別指導を再開したところ、医師が後発医薬品を先発医薬品に振り替えて診療報酬を不正に請求していたことを認めたことから個別指導を中止し、平成27年4月13日ほか計14回の監査を実施した。

【コメント】
本ケースでは、平成26年12月17日に個別指導が中断されてから、その再開日までに、約3か月がかかっています。本ケースでは言及がありませんが、個別指導が中断されてから再開されるまでの間に、いわゆる厚生局の患者調査が実施されることもあります。

本ケースでは、医師が、後発医薬品を先発医薬品に振り替えて診療報酬を不正に請求していたことを認めていますが、本ケースで個別指導のきっかけとなった情報提供の内容とは一致していません。本ケースのように、情報提供での厚生局個別指導について、個別指導の結果、情報提供の内容とは異なる不正請求が発覚するケースが稀ではありません。

 2 取消相当の理由と不正・不当請求額

1 取消相当の主な理由

第一に、架空請求であり、実際には行っていない保険診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。第二に、付増請求であり、実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。第三に、振替請求であり、実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。第四に、二重請求であり、患者から自費を徴収しているにもかかわらず、保険診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。第五に、その他の請求に分類される不正請求として、診察をせず調剤し、診療報酬を不正に請求していた。

【コメント】
上記の架空請求、付増請求、振替請求、二重請求などは、厚生局側の診療報酬の不正請求の分類(月ごとにレセプトごとに判断)となっています。

なお、本ケースの医院は、平成28年6月付けで取消相当となっていますが、これは、医院が平成27年3月付けで廃止されており、そこで、保健医療機関の指定の取消しができないためです。取消相当は、取消しと同等の取扱いをするものとなります。ちなみに、厚生局の個別指導は廃止された医療機関には(個別指導の実施通知を出していたとしても現在の運用では)実施されず、しかし、厚生局の監査については、元開設者などとして実施することがあります。

2 不正・不当請求の金額

平成22年5月から平成27年1月までについて、レセプト132件28名分で35万1680円の不正請求が、レセプト83件30名分で4万1145円の不当請求が、監査で判明しています。ただし、この件数・金額は、監査で判明したもののみであり、最終的な確定した金額ではないことに注意が必要です。


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厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査の弁護士のコラム一覧です。
厚生局の個別指導(情報提供)の実例の他、多数のコラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

4  死亡した患者の診療報酬不正請求

5  コンタクトレンズの不正請求

6  鍼灸院・接骨院との不正請求

7  厚生局の監査の拒否、監査欠席

8  カルテの追記、改ざん、書き換え

9  無診察処方、無診察投薬の不正請求

10 施設基準の虚偽の届出、虚偽の報告

11 診療日数の水増しでの不正請求

12 医師の入院と中断中の個別指導の延期

13 医師の名義貸しでの新規個別指導の中断

14 医師の無診察の不正請求

15 医師の無診察治療での個別指導

16 再指導の個別指導からの監査

17 刑事事件の有罪判決(詐欺)での取消相当

18 訪問看護ステーションの個別指導

19 子供の診療での不正請求

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

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