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近畿厚生局(大阪府)の情報提供・通報での個別指導、監査(医科)の実例です。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関・保険医の取消の実例(26):近畿厚生局の個別指導

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、指導監査の対応業務を行っています。

個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、近畿厚生局指導監査課に大阪のクリニックでの医薬品の振替請求の不正請求の情報提供・通報が匿名の者からあり、個別指導が実施され、中断、監査となり、監査に出頭しないことを理由に元保険医療機関の指定の取消相当となった実例をご紹介します。近畿厚生局の令和3年7月付けの取消相当の実例であり、説明のため、事案の簡略化等をしています。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

【コラム】厚生局の個別指導と監査
     https://医科個別指導弁護士.com/ika-kobetushidou.html



近畿厚生局(大阪府)の監査に出頭せず取消相当の実例


 1 監査に至った経緯

1 近畿厚生局指導監査課への医薬品振替請求の情報提供

匿名の者から近畿厚生局指導監査課に対し、後発医薬品(以下「後発品」という。)を調剤しているにもかかわらず、先発医薬品(以下「先発品」という。)を調剤したものとして診療報酬を不正に請求している旨の情報提供があり、個別指導を実施したところ、診療報酬を請求している先発品について、納品伝票から購入実績が確認できなかった。また、診療報酬は請求されていない後発品を複数回購入していることが確認された。これらのことについて、医師から明確な回答が得られなかったため、個別指導を中断した。

【コメント】
大阪府のクリニック・診療所を管轄する近畿厚生局指導監査課に、後発医薬品を先発医薬品として診療報酬を請求しているとの振替請求の不正請求の情報提供が、匿名の者からなされています。

後発医薬品を先発医薬品とする振替請求の場合、繋がりの深い薬局と共謀して行っているケースがありますが、本ケースでは、情報提供の内容によれば、院内処方のクリニックでの振替請求の疑義と考えられます。

院内処方での医薬品の振替請求の場合、近畿厚生局(大阪)の担当者としては、まずは、医薬品の購入実績の書類をチェックすることになるものと考えられます。診療報酬の請求に対応する医薬品の購入実績が確認できない場合、どこからその医薬品が生じたのか、その診療所の開設者・管理者に尋ねることになります。

本ケースでは、個別指導が実施され、診療報酬が請求されている先発医薬品の購入実績が確認できず、逆に、診療報酬請求されていない後発医薬品の購入実績が確認され、開設者・管理者の医師からこれに対する明確な回答がなく、振替請求の不正請求の疑義が深まり、近畿厚生局(大阪)の個別指導の中断に至っています。

2 近畿厚生局指導監査課(大阪府)の再度の個別指導の中断

個別指導を再開したところ、医師から購入実績が確認できなかった先発品の一部について、納品書の提出はなかった。また、医師が調剤していないとする後発品を購入し続けた理由を尋ねたところ、医師から明確な回答が得られなかった。これらのことから、個別指導を再度中断し、全ての医薬品の購入履歴が確認できる医薬品卸売業者発行の医薬品の納品一覧(以下「納品一覧」という。)の提出を求めた。

【コメント】
大阪府を管轄する近畿厚生局から、個別指導の再開後にあらためて購入実績が確認できなかった先発医薬品について尋ねられ、医師からの明確な回答がなく、疑義が解消されず、あらめて個別指導が中断されています。

合理的な理由から疑義が生じており、このようなケースでは、医療機関・医師の側から、疑義が解消できる一定の裏付けが提示等されないと、近畿厚生局としても、監査での精査を検討せざるを得ないものと考えられます。

3 個別指導の中止、監査の実施

個別指導を再開したところ、医師から納品一覧の提出はなかった。また、医師が調剤していないとする後発品を購入し続けた理由について、医師から、医薬品卸売業者からの依頼で、一旦購入し一定期間預かった後に、返品していた旨の回答があったため、医薬品の購入及び返品の事実が確認できる総勘定元帳の提出を求めたが医師はこれを拒否した。

このように、医薬品卸売業者との取引の説明に不自然な点があり、事実確認のための資料の提出に応じないことから、診療報酬を不正請求していたことが強く疑われたため個別指導を中止し、平成28年7月11日から令和2年3月12日まで計13日間の監査を実施した。

【コメント】
医師から近畿厚生局(大阪)に医薬品の納品一覧の提出はなく、振替請求の疑義が解消されず、個別指導が中止され、監査の実施に至っています。

本ケースでは、監査が平成28年7月から令和2年3月までの13日間となっており、このように、監査は、具体的な事情により非常に長期間となることがあります。

 2 取消相当の理由

1 取消相当の主な理由

近畿厚生局の公表資料によれば、大阪府の係るクリニックについて、取消相当の主な理由は、以下のとおりです。

監査の不出頭:
医師は、令和2年3月12日の監査に出頭しなかった。従業者は、平成29年7月31日の監査に出頭しなかった。

また、従業者が監査を拒否した場合において、医師はその行為を防止するため、相当の注意及び監督を尽くしたとは認められなかった。

このことは、健康保険法等に基づく監査について、保険医療機関の開設者及び従業者並びに保険医が出頭を求められてこれに応ぜず、検査を拒み、忌避したものであり、保険医療機関及び保険薬局の指定の取消しを定めた健康保険法第80条に該当し、保険医及び保険薬剤師の登録の取消しを定めた健康保険法第81条に該当する。

【コメント】
監査は13日間実施されており、開設者・管理者の医師が監査に出頭したケースもあったのではないかと思われますが、最終的に、監査に出頭せず、監査に出頭しないことを理由に取消相当となっています。

保険医療機関・保険医が監査に正当な理由なく出頭せず、これを理由に取消処分・取消相当となっているケースは、稀ではないと感じます。本ケースでは、監査に出頭しないことを理由として取消相当とされており、公表資料上は、疑義の生じていた医薬品の振替請求の不正請求については、監査で確認されたとはされていません。


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指導監査への対応を弁護士がアドバイスし、同席します。


厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査のコラム一覧です。
近畿厚生局(大阪府)の個別指導、監査の実例の他、多数コラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

4  死亡した患者の診療報酬不正請求

5  コンタクトレンズの不正請求

6  鍼灸院・接骨院との不正請求

7  厚生局の監査の拒否、監査欠席

8  カルテの追記、改ざん、書き換え

9  無診察処方、無診察投薬の不正請求

10 施設基準の虚偽の届出、虚偽の報告

11 診療日数の水増しでの不正請求

12 医師の入院と中断中の個別指導の延期

13 医師の名義貸しでの新規個別指導の中断

14 医師の無診察の不正請求

15 医師の無診察治療での個別指導

16 再指導の個別指導からの監査

17 刑事事件の有罪判決(詐欺)での取消相当

18 訪問看護ステーションの個別指導

19 子供の診療での不正請求

20 14日後の処方箋の情報提供での個別指導

21 精神科デイ・ケアの施設基準の不正請求

22 情報提供での新規個別指導からの監査

23 後発医薬品を先発医薬品とする不正請求

24 健康診断での不正請求の情報提供

25 東北厚生局(宮城県)の個別指導、監査

26 近畿厚生局(大阪府)の個別指導、監査

27 病院での適時調査からの個別指導、監査

28 架空請求の情報提供での個別指導、監査

29 訪問診療での不正請求の情報提供、通報

30 個別指導の欠席での厚生局の監査

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

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