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情報提供で新規個別指導から監査となった医科のクリニックの実例です。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関・保険医の取消の実例(22):新規個別指導からの監査

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、指導監査の対応業務を行っています。

個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、不正請求の情報提供が厚生局にあり、新規個別指導が実施され、患者調査、監査となり、付増請求などにより元保険医療機関の指定の取消相当となった実例をご紹介します。東海北陸厚生局の令和2年6月付けの取消相当の実例であり、説明のため、事案の簡略化等をしています。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

【コラム】厚生局の個別指導と監査
     https://医科個別指導弁護士.com/ika-kobetushidou.html



情報提供で新規個別指導から監査となった実例


 1 監査に至った経緯

1 保険医療機関指定前の診療での不正請求の情報提供

東海北陸厚生局三重事務所に対し、保険医療機関の指定前である平成23年9月に行った診療を、指定後の平成23年10月の診療報酬に加算して請求していた旨の情報提供があった。

【コメント】
保険医療機関の指定前に行った診療を指定後の診療報酬に加算しているとの情報提供・通報が厚生局になされており、類似の不正事例が少ないケースと思われます。

2 新規個別指導の実施、新規個別指導の中断

新規個別指導を実施したところ、診療報酬明細書と診療録の診療日数が相違している例や、院外処方であるにもかかわらず院内処方に係る薬剤料等の請求が行われている例が認められ、医師に説明を求めたが、明確な回答が得られなかったため、新規個別指導を中断した。

【コメント】
新規指定の医療機関に原則実施される新規個別指導の実施前に不正請求の情報提供があれば、厚生局としては、必要性があると判断されれば、新規個別指導ではなく個別指導を実施することもできます。ただ、本ケースでは、個別指導ではなく、新規個別指導の実施となっています。そこから推測しますと、まずは新規個別指導で状況を確認し、その上でその後の対応を判断しよう、というスタンスであった可能性があります。

実施した新規個別指導では、不正請求の疑義が認められ、中断に至っています。不正請求がなされている場合、関係資料のつじつまが合わなくなり、合理的な説明ができなくなることがしばしば見受けられます。

3 新規個別指導中断後の患者調査の実施

患者調査を実施したところ、平成23年9月にクリニックを受診したことがあること及び平成23年10月にクリニックを実際に受診した日数より診療報酬が請求されている日数の方が多い事象等が認められた。

【コメント】
厚生局が患者調査を実施する場合、模索的に探索的に行うのではなく、相応の具体的な不正請求の疑義が生じており、実態がその疑義のとおりか検証するために行われるイメージです。なお、患者調査は、個別指導や新規個別指導の中断後に行われることが通常の流れとの印象です。本ケースでは、患者調査が実施され、その結果、厚生局が情報提供を受けた内容に沿った内容の事象等が確認されています。

4 医師の不正請求の自認、監査の実施

新規個別指導を再開したところ、医師から保険医療機関指定前の平成23年9月に投薬した薬剤を、平成23年10月診療分に付け増して診療報酬の請求を行った旨の回答があり、診療報酬を不正に請求していたことが強く疑われたことから新規個別指導を中止し、監査を実施した。

【コメント】
医師が再開後の新規個別指導で、情報提供内容に沿った態様の不正請求を認めており、新規個別指導が中止され、監査の実施に至っています。厚生局の新規個別指導から監査に結び付くことは、稀なケースであるとのイメージではありますが、本ケースのように、実際に新規個別指導から監査に至るケースもあります。

 2 取消相当の理由と不正・不当請求金額

1 取消相当の主な理由

東海北陸厚生局の公表資料によれば、監査において判明した取消相当の理由となる主な事実は、以下のとおりです。

付増請求:
保険医療機関指定後の保険診療に保険医療機関指定前の診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。

自己診療の不正請求:
保険診療として認められていない自己診療を行い、診療報酬を不正に請求していた。

一部負担金の受領:
不正請求分に係る一部負担金を受領していた。

監査の拒否:
健康保険法第78条第1項(船員保険法第59条において準用する場合を含む。)、国民健康保険法第45条の2第1項及び高齢者の医療の確保に関する法律第72条第1項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、検査を拒んだ。

【コメント】
保険医療機関の指定を受ける前の診療を保険医療機関に指定された後の保険診療に付け増すという、新規個別指導において疑義が生じていた情報提供のあった内容の不正請求が監査の結果認定されています。一部負担金の受領については、不正請求に関連してしばしば生じるものとなります。

なお、本ケースでは、監査の拒否が取消相当の理由の1つとなっています。正当な理由がなく監査の出頭を拒否した場合、取消に結び付くことになり、本ケースでは、以下の2回の監査拒否が公表資料上で認定されています。

【監査拒否の状況】
次のことから、医師は正当な理由なく監査に出頭せず、今後あらゆる方策を講じても監査の実施が困難であるものと判断した。

(1)1回目監査拒否(第14回監査)
監査実施通知を配達証明郵便で送付したが保管期間満了により郵便局から返送されたため、医師の自宅の郵便受けに監査実施通知を差し置いた。しかし、これも返送された。その後、医師が所在不明となっていることが推認されたことから、住民基本台帳を確認したところ、転居していることが判明した。

住民基本台帳で確認した住所地へ、あらためて監査実施通知を送付するも保管期間満了により郵便局から返送された。

これ以前にも監査が13回実施されており、監査は中断中で今後も継続する予定であったことについて医師は認識していたにもかかわらず、自ら音信不通の状況を招いた。

(2)2回目監査拒否(第15回監査)
監査実施通知を送付するに当たり、住民基本台帳を確認したところ、再度、転居していることが判明した。住民基本台帳で確認した住所地へ、監査実施通知を送付するも保管期間満了により郵便局から返送されたため、簡易裁判所に対して公示送達申立てを行った。

簡易裁判所等での公示送達の掲示から2週間が経過し、監査実施通知が到達したものとみなされたが、監査当日、監査の開始時刻になっても医師は出頭しなかった。

【コメント】
監査は長期間にわたり実施されることが通例であり、本ケースでは、監査の途中で医師が音信不通の状態になり、医師が正当な理由なく監査に出頭せず、今後あらゆる方策を講じても監査の実施が困難であるものと厚生局に判断されています。厚生局の監査は、通常、長時間、長期間にわたるもので負担が大きいのですが、保険医療機関として、対応することが求められます。

2 不正・不当請求金額

平成23年10月から平成24年10月までについて、レセプト18件18名分で7万9446円の不正請求が、レセプト180件42名分で123万8292円の不当請求が、監査で判明しています。


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指導監査への対応を弁護士がアドバイスし、同席します。


厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査のコラム一覧です。
情報提供で新規個別指導から監査となった実例の他、多数コラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

4  死亡した患者の診療報酬不正請求

5  コンタクトレンズの不正請求

6  鍼灸院・接骨院との不正請求

7  厚生局の監査の拒否、監査欠席

8  カルテの追記、改ざん、書き換え

9  無診察処方、無診察投薬の不正請求

10 施設基準の虚偽の届出、虚偽の報告

11 診療日数の水増しでの不正請求

12 医師の入院と中断中の個別指導の延期

13 医師の名義貸しでの新規個別指導の中断

14 医師の無診察の不正請求

15 医師の無診察治療での個別指導

16 再指導の個別指導からの監査

17 刑事事件の有罪判決(詐欺)での取消相当

18 訪問看護ステーションの個別指導

19 子供の診療での不正請求

20 14日後の処方箋の情報提供での個別指導

21 精神科デイ・ケアの施設基準の不正請求

22 情報提供での新規個別指導からの監査

23 後発医薬品を先発医薬品とする不正請求

24 健康診断での不正請求の情報提供

25 東北厚生局(宮城県)の個別指導、監査

26 近畿厚生局(大阪府)の個別指導、監査

27 病院での適時調査からの個別指導、監査

28 架空請求の情報提供での個別指導、監査

29 訪問診療での不正請求の情報提供、通報

30 個別指導の欠席での厚生局の監査

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

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