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厚生局の監査でのカルテの追記、改ざん、書き換えのコラムです。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関・保険医の取消の実例(8):カルテの改ざん、書き換え

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、指導監査の対応業務を行っています。

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ここでは、生活保護法に基づく指定医療機関の指定取消処分の報道発表があり係る不正請求の患者について健康保険の被保険者が含まれていることが判明したため患者調査が実施され、監査となり、診療録(カルテ)の追記(改ざん・書き換え)の虚偽報告などで取消相当となった実例をご紹介します。近畿厚生局の平成25年11月付けの取消相当の実例であり、説明のため、事案の簡略化等をしています。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、厚生局の指導監査の基本的な流れ、実施状況など記載していますので、まずはこちらのコラム厚生局の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。


厚生局の監査でのカルテの追記(改ざん、書き換え)


 1 監査に至った経緯

1 生活保護法の指定医療機関の指定取消処分

平成24年7月13日、京都市が当該保険医療機関について診療報酬を不正に請求していた事実等が判明したため、生活保護法に基づく指定医療機関の指定取消処分を行った旨の報道発表があった。

【コメント】
厚生局の指導監査の仕組みとは別の仕組みとして、生活保護法に基づく指定医療機関の指定取消の仕組みがあります。両者は異なる仕組みですが、リンクしていて、ある保健医療機関が保険医療機関の指定の取消となれば、保健医療機関ではなくなったことが指定の取消事由にあたるため、生活保護法の指定も指定取消となるなどします。

2 不正請求の疑義

その後、当該処分の原因となった不正請求が行われた患者について、健康保険の被保険者が含まれていることが判明した。

【コメント】
生活保護法の指定医療機関の指定取消が保健医療機関の指定の取消に必ず繋がるわけではありません。当該保険医療機関において、厚生局が指導監査で扱う健康保険の被保険者の保険診療について取消事由に該当する不正請求などが行われているかがポイントとなります。本ケースでは、厚生局の指導監査で扱う患者について、不正請求の疑義が生じています。

3 患者調査の実施、監査の実施

そこで、近畿厚生局京都事務所が、平成24年8月3日、7日及び15日に患者調査を実施したところ、調査に応じた14名の患者のうち、11名について診療日数の付増請求の疑義が生じた。 以上のことから、当該診療所において、不正な診療又は診療報酬の請求が行われていることが強く疑われたため、平成24年8月28日ほか計10回の監査を実施した。

【コメント】
患者調査が3日間、実施され、その結果、患者14名中11名で診療日数の付け増しが疑われ、監査となっています。患者調査については、患者の誤解などもあり得ることから、患者の説明が直ちに正しいと厚生局が扱うわけではありません。医療機関側の説明はどうか、多くの患者について同様の説明が患者からあるか、患者の説明をサポートする裏付け資料がどれだけあるか、など、総合的に勘案して厚生局は事実を判断するものと考えられます。なお、患者調査が実施された場合は、それを医療機関側に報告する患者がいることが多く、厚生局の患者調査の実施を、医療機関も把握できることが通常であると思われます。また、本ケースでは、個別指導が実施されておらず、患者調査が実施され、直ちに監査になっていることに注意が必要です。

 2 取消相当の理由と不正・不当請求額

1 取消相当の主な理由

第一に、付増請求であり、実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。第二に、虚偽の報告であり、医師は、京都事務所の指示に反し、第1回の監査後に診療録(カルテ)へ追記を行い、それらの診療録について追記を行っていないものとして監査に持参した。

【コメント】
カルテについて、厚生局の個別指導や監査に際し、実際の診療に反する改ざん、書き換えを行ってはいけません。本ケースでは、医師が第1回の監査後にカルテへの追記を行い、追記を行っていないものとして監査に持参したことが、虚偽の報告として、取消相当の理由の一つとされています。

2 不正・不当請求の金額

平成23年4月から平成24年3月までについて、レセプト12件2名分で39万2786円の不正請求が、レセプト115件10名分で53万2660円の不当請求が、監査で判明しています。ただし、この件数・金額は、監査で判明したもののみであり、最終的な確定した金額ではないことに注意が必要です。


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厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査のコラム一覧です。
カルテ追記(改ざん、書き換え)の実例の他、多数コラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

4  死亡した患者の診療報酬不正請求

5  コンタクトレンズの不正請求

6  鍼灸院・接骨院との不正請求

7  厚生局の監査の拒否、監査欠席

8  カルテの追記、改ざん、書き換え

9  無診察処方、無診察投薬の不正請求

10 施設基準の虚偽の届出、虚偽の報告

11 診療日数の水増しでの不正請求

12 医師の入院と中断中の個別指導の延期

13 医師の名義貸しでの新規個別指導の中断

14 医師の無診察の不正請求

15 医師の無診察治療での個別指導

16 再指導の個別指導からの監査

17 刑事事件の有罪判決(詐欺)での取消相当

18 訪問看護ステーションの個別指導

19 子供の診療での不正請求

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

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