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厚生局の監査(振替請求)のコラムです。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関・保険医の取消の実例(2):厚生局の振替請求での監査

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個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、厚生局への振替請求の情報提供で個別指導となり、個別指導で医師が振替請求を認め、その後、監査が実施され、指定の取消相当となった保険医療機関の実例(不正請求での取消相当)を、弁護士のコメント・解説付きでご紹介します。近畿厚生局の平成28年2月付けの取消相当の実例であり、説明のため、事案の簡略化等をしています。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、厚生局の指導監査の基本的な流れ、実施状況など記載していますので、まずはこちらのコラム厚生局の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。


振替請求の情報提供での個別指導、監査


 1 個別指導、監査に至った経緯

1 厚生局への振替請求の情報提供

平成22年3月8日、匿名の者から、近畿厚生局指導監査課に対し、後発医薬品を調剤しているにもかわらず、先発医薬品を調剤したものとして診療報酬を不正に請求している旨の情報提供があった。

【コメント】
本ケースでは振替請求の情報提供が、厚生局の個別指導、監査の端緒となっています。最終的に取消に至るケースでは、厚生局への不正請求の情報提供が端緒となっているケースが多い印象です。

患者から情報提供がなされる場合、税務上の問題などで疑問を感じ保険者などに質問し、そこから情報提供に至るケースもありますが、患者と医院で何らかのトラブルが生じ、または患者が診療等に不満を感じ、そこで、行政側への情報提供に至るケースが多い印象です。また、退職したスタッフについても、円満に退職がなされず、スタッフが退職の際などに不満を感じていた場合は、行政側への情報提供がなされることが稀ではない印象です。

厚生局には、多数の情報提供が様々な方面からあるようであり、情報提供があれば必ず個別指導・監査などが実施されるわけではありません。情報提供の内容等を総合的に検討した上で、実施を判断していると考えられます。

2 個別指導の実施、中断

平成24年10月11日、平成25年1月16日及び2月20日、個別指導を実施したところ、診療報酬を請求しているにもかかわらず、購入実績が確認できない薬剤が見受けられたことについて、医師は、薬剤の振替請求は認めたものの、具体的に振り替えた薬剤名の回答がなかったことから、個別指導を中断した。

【コメント】
薬剤の振替請求の情報提供があった場合は、厚生局は、個別指導において、情報提供に係る薬剤を購入しているか、また、数量等のつじつまがあっているか、個別指導での医院の持参資料などから確認することになります。疑義が解消しない場合は、個別指導の中断に繋がります。

本ケースでは、医師が振替請求を認めており、不正請求の疑義が深まった状況となります。個別指導が中断となった場合は、状況によりますが、厚生局としては、中断の段階で、既に監査を見据えているケースも稀ではないと思われます。

3 個別指導の中止、監査

平成25年6月12日、個別指導を再開したところ、実際に患者に調剤した薬剤名と振り替えて請求した薬剤名を記載した一覧表が提出され、振替請求が濃厚となったことから、個別指導を中止し、平成25年11月19日ほか計6回の監査を実施した。

【コメント】
本ケースでは、振替請求を認める書面が医師側から提出され、振替請求の不正請求が濃厚となり、厚生局は監査を実施しています。監査の実施に至るまでに、個別指導について、通常は2日間実施が多いところ、4日間実施されていることが、珍しいケースと思われます。

厚生局の監査の結果判明した取消相当に理由によれば、振替請求だけではなく架空請求や付増請求も確認されており、当該医院は、情報提供された内容以外の不正請求も行っていたものと考えられます。厚生局の監査は、情報提供された内容に限らず不正請求について調査しますので、本ケースのように、端緒とされた情報提供の不正請求以外の不正請求も明らかになることが稀ではないという印象です。

 2 取消相当の理由と不正・不当請求額

1 取消相当の主な理由

第一に、架空請求であり、実際には行っていない保険診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。第二に、付増請求であり、実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。第三に、振替請求であり、実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。

【コメント】
個別指導・監査の端緒となった振替請求の不正請求の他、架空請求、付増請求の不正請求も厚生局の監査で確認されています。厚生局としては、具体的な内容にもよりますが、架空請求の不正請求は、特に悪質と判断するものと思われます。

本ケースの取消相当は平成28年2月付けであり、平成24年10月の個別指導の開始から、3年4か月がかかっています。ケースバイケースであり地域にもよるのですが、厚生局の個別指導の実施から取消しに至るまで、相当の期間がかかります。

2 不正・不当請求の金額

平成24年4月から平成24年9月までについて、レセプト94件24名分で8万7599円の不正請求が、レセプト118件27名分で4万384円の不当請求が、監査で判明しています。ただし、この件数・金額は、監査で判明したもののみであり、最終的な確定した金額ではないことに注意が必要です。


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厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査の弁護士のコラム一覧です。
厚生局の監査(振替請求)の実例の他、多数のコラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

4  死亡した患者の診療報酬不正請求

5  コンタクトレンズの不正請求

6  鍼灸院・接骨院との不正請求

7  厚生局の監査の拒否、監査欠席

8  カルテの追記、改ざん、書き換え

9  無診察処方、無診察投薬の不正請求

10 施設基準の虚偽の届出、虚偽の報告

11 診療日数の水増しでの不正請求

12 医師の入院と中断中の個別指導の延期

13 医師の名義貸しでの新規個別指導の中断

14 医師の無診察の不正請求

15 医師の無診察治療での個別指導

16 再指導の個別指導からの監査

17 刑事事件の有罪判決(詐欺)での取消相当

18 訪問看護ステーションの個別指導

19 子供の診療での不正請求

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

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