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後発医薬品を先発医薬品とする不正請求の情報提供・通報の実例です。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関・保険医の取消の実例(23):購入のない医薬品の不正請求

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、指導監査の対応業務を行っています。

個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、後発医薬品を先発医薬品として請求している等の情報提供が厚生局にあり、個別指導、監査、保険医療機関の指定の取消となった実例をご紹介します。東海北陸厚生局の令和2年8月付けの取消の実例であり、説明のため、事案の簡略化等をしています。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

【コラム】厚生局の個別指導と監査
     https://医科個別指導弁護士.com/ika-kobetushidou.html



購入実績が確認できない先発医薬品の不正請求


 1 監査に至った経緯

1 不正請求の情報提供

平成29年9月12日、東海北陸厚生局指導監査課に「医師が院長1人であるにもかかわらず、同一日複数科受診を請求している。」等の情報提供があった。

【コメント】
医師が院長一人で同一日複数科受診を請求しているとの情報提供、通報が厚生局になされています。

このような情報提供があった場合、必ず厚生局がその保険医療機関に対して個別指導を実施する、というわけではなく、信ぴょう性等を総合的に勘案し、対応が判断されることになります。

2 後発医薬品を先発医薬品とする不正請求の情報提供

平成30年7月27日、個別指導開始前に「後発品であるアダントディスポ関節注が納品されているにもかかわらず、先発医薬品であるアルツディスポ関節注で薬剤料を請求している。」旨の情報提供があったため、個別指導において確認したところ、先発医薬品であるアルツディスポ関節注の購入実績はなく、後発医薬品であるアダントディスポ関節注を購入していることが認められた。なお、診療録には、「アルツディスポ1S」とゴム印が押されており、診療報酬は先発医薬品であるアルツディスポ関節注25mgで薬剤料の請求がされていた。

このことについて、開設法人の理事長であり管理者である医師に指摘するも明確な回答が得られなかったため、個別指導を中断した。

【コメント】
本ケースでは、個別指導の開始前にさらに不正請求(後発品医薬品が納品されているのに先発医薬品で薬剤料を請求)の情報提供・通報が東海北陸厚生局になされており、個別指導でこの点も確認されることになっています。

その結果、先発医薬品の購入実績はなく、後発医薬品の購入実績が認められ、さらに、先発医薬品で薬剤料の請求がなされていることが個別指導で確認されています。このように、情報提供があると、その情報提供に係る事実関係について、個別指導の持参物を介するなどして厚生局は確認することになります。

個別指導となると、カルテ(診療録)の記載内容に意識が向きがちですが、このような購入実績に係る資料や、一部負担金の受領に関する資料(日計表等)なども、情報提供があれば重点的に厚生局に確認されますので、留意することが必要です。

後発医薬品を先発医薬品として診療報酬を請求していた場合、厚生局の不正請求の分類では、振替請求という不正請求の分類になります。

3 勤務医の入院期間中のその勤務医の診療

さらに、同一日複数科受診について医師に確認したところ、自身が眼科以外の診療を行い、勤務医が眼科の診療を行っている旨回答があったが、その後の精査で当該勤務医が入院している期間においても同一日複数科受診に係る診療報酬を請求していることが判明した。

【コメント】
当初の情報提供に関しても確認がなされ、クリニックの医師から、自身と勤務医が診療を行っている旨の回答がありましたが、その後、勤務医が入院している期間でも同一日複数科受診に係る請求がなされていることが確認されています。

勤務医が入院していた事実は動かし難い事実と思われ、そうなると、少なくともその期間中は、当初の情報提供に係る不正請求の疑義が深まった状況にあると考えられます。

厚生局は、医療機関側の回答で納得しない場合などは、患者調査がその代表ですが、自ら積極的に事実関係等を調査・確認し、その結果を勘案し、監査の実施等について判断することがあります。

4 個別指導の中止、監査の実施

以上のことから、購入実績が確認できない先発医薬品を使用したとして診療報酬を請求していること及び勤務医の入院期間中に医師が複数の診療科の診療を行ったものを同一日複数科受診として診療報酬を請求していることが強く疑われたことから、個別指導を中止し、患者調査を行った上で監査を実施した。

【コメント】
医薬品の振替請求と勤務医の入院期間中にその勤務医が診療を行ったものとして不正請求をしているとの疑義により、個別指導の中止、監査の実施に至っています。

 2 取消の理由と不正請求金額

1 取消の主な理由

東海北陸厚生局の公表資料によれば、監査において判明した取消の理由となる主な事実は、以下のとおりです。

付増請求:
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。

振替請求:
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。

不正請求の一部負担金の受領:
不正請求分に係る一部負担金を受領していた。

【コメント】
後発医薬品を先発医薬品として診療報酬を請求していたことが、振替請求として確認されているものと考えられます。このような不正は、医薬品の購入実績の確認などにより調査されることがスタンダードと思われます。

2 不正請求金額

平成28年9月から平成30年6月までについて、レセプト244件35名分で95万5268円の不正請求が、監査で判明しています。


厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方はお電話下さい。
指導監査への対応を弁護士がアドバイスし、同席します。


厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査のコラム一覧です。
後発医薬品を先発医薬品として請求する不正請求(振替請求)の実例の他、多数コラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

4  死亡した患者の診療報酬不正請求

5  コンタクトレンズの不正請求

6  鍼灸院・接骨院との不正請求

7  厚生局の監査の拒否、監査欠席

8  カルテの追記、改ざん、書き換え

9  無診察処方、無診察投薬の不正請求

10 施設基準の虚偽の届出、虚偽の報告

11 診療日数の水増しでの不正請求

12 医師の入院と中断中の個別指導の延期

13 医師の名義貸しでの新規個別指導の中断

14 医師の無診察の不正請求

15 医師の無診察治療での個別指導

16 再指導の個別指導からの監査

17 刑事事件の有罪判決(詐欺)での取消相当

18 訪問看護ステーションの個別指導

19 子供の診療での不正請求

20 14日後の処方箋の情報提供での個別指導

21 精神科デイ・ケアの施設基準の不正請求

22 情報提供での新規個別指導からの監査

23 後発医薬品を先発医薬品とする不正請求

24 健康診断での不正請求の情報提供

25 東北厚生局(宮城県)の個別指導、監査

26 近畿厚生局(大阪府)の個別指導、監査

27 病院での適時調査からの個別指導、監査

28 架空請求の情報提供での個別指導、監査

29 訪問診療での不正請求の情報提供、通報

30 個別指導の欠席での厚生局の監査

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

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