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診療録、紙カルテの保険診療での医療機関(医科)への指摘事項のコラムです。厚生局の個別指導、監査は、指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険診療での指摘事項(1):診療録(カルテ)の取り扱い

医療機関への個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼頂き、指導監査に対応しています。

個別指導・監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、医科の医療機関の保険診療に関して、診療録、紙カルテの取り扱いでの確認事項、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省の医療指導監査室の保険診療確認事項リスト(医科)令和6年度改訂版ver.1に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取り扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる可能性があることに注意が必要です。

なお、厚生局の個別指導、新規個別指導に臨む保険医である医師の方は、まずは以下のコラムをご覧いただくことをお勧めします。

【コラム】1 厚生局の個別指導、監査の対応法

     2 厚生局の新規個別指導の手続きの概要


診療録(カルテ)の取り扱いでの指摘事項


 1 診療録への必要事項の記載

診療録は、保険請求の根拠となるものなので、医師は診療の都度、遅滞なく必要事項の記載を十分に行うこと(特に、症状、所見、治療計画等について記載内容の充実を図ること)。

診療録への必要事項の記載について、次の不適切な例が認められたので改めること。

すなわち、
@診療録について
 ・医師による日々の診療内容の記載が[全くない・全くない日が散見される・極めて乏しい]。
 ・[医師の診察に関する記載がなく・「薬のみ(medication)」、「do」、「消炎鎮痛等処置」等の記載で]、[投薬・消炎鎮痛等処置]等の治療が行われている。
 診療録の記載がなければ医師法で禁止されている無診察治療とも誤解されかねないので改めること。

A傷病手当金に係る意見書を交付した場合であるにもかかわらず、労務不能に関する意見欄への記載がない。

B診療録第3面(保険医療機関及び保険医療養担当規則様式第一号(一)の3)に患者から徴収する一部負担金の徴収金額が適正に記載されていない。

C確定済みの診療録に追記を行うに当たって[追記者・追記日時]が明確にされていない。

D同一日の再診について、診療録への記載が[ない・個々の患者の状態に応じた記載になっていない・不十分である]。

Eやむを得ない事情で、看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合について、診療録への記載が[ない・個々の患者の状態に応じた記載になっていない・不十分である]。

【コメント】
個別指導では、カルテの記載が適切になされているか、必要な記載事項が網羅されているか、厚生局の指導医療官にチェック・確認されることになります。

新規にクリニックを開業し、厚生局の新規個別指導の前であれば、カルテ記載に日常の診療で留意していることと思われますが、新規個別指導を「経過観察」などで乗り切った後では、気が緩み、ざっくりとしたカルテ記載となってしまっている方も見受けられます。この場合、高点数や情報提供などで個別指導となった場合に、困る事態となりますので、個別指導になったとしても大丈夫であると思えるカルテ記載を、厚生局の指導を控えていない状況においても、常に意識することが肝心です。


 2 紙媒体の記録(紙カルテ)

紙媒体の記録について、次の不適切な例が認められたので改めること。

すなわち、
@記載内容が判読できない。
 (例:略号を用いている。等)

A[事前に・鉛筆で]記載している。

B[修正液・修正テープ・塗りつぶし・貼紙]により訂正しているため訂正前の記載内容が判別できない。
 訂正は訂正した者、内容、日時等が分かるように行うこと。

C診療録について、完結の日から5年間保存していない。

D検査結果や診療情報提供書の写しについて、全患者分を一元的に管理している。
 患者それぞれの診療録に添付又は貼付し、患者毎に管理すること。

E診療を担当する保険医の署名又は記名押印が診療の都度なされていないため、診療の責任の所在が明らかでない。

F診療録の第2面(様式第一号(一)の2)の記載について、「既往症、原因、主要症状、経過等」欄と「処方、手術、処置等」欄とは区別して記載すること。

【コメント】
いわゆる紙カルテである場合の注意事項、留意事項となります。

第三者が見た際に、診療の責任者を含め、診療内容が理解できるように記載することが求められます。上記のBのとおり、紙カルテについて訂正を行う際には、訂正した者、内容、日時等が分かるように行うよう、注意が必要です。


 3 診療録での不適切な事項

診療録について、次の不適切な事項が認められたので改めること。

すなわち、
@医師が自分自身の診療録に自ら記載しているため、他の医師の診察を受けたことを確認できない。
 いわゆる自己診療は認められていないため、診療を受ける医師は本人とは別の医師の診療に基づいて検査・投薬・注射等を受けた場合にのみ保険請求できることに留意すること。

A職員等に対する診療(いわゆる自家診療)について、診療録への記載が[ない・個々の患者の状態に応じた記載になっていない・不十分である]。

B訪問診療と訪問看護のいずれを実施したものであるのか判別できない。

C指導前に指導対象患者の診療録に補正をしている。

【コメント】
医療機関のスタッフや家族などに行ういわゆる自家診療は、架空請求や水増し請求などの不正が行われやすいため、新規個別指導や個別指導においては、必要に応じ、入念に厚生局の指導医療官からチェック・確認されることになります。

スタッフや家族などに対する診療について、カルテへの記載がない場合、その診療実態が疑われかねませんので、診療を行った場合は、十分な充実したカルテ記載を意識すべきです。



厚生局の個別指導、監査に臨む医師、医療機関の方はお電話下さい。適切な対応を弁護士がアドバイスします。


医療機関・医師への指導、監査のコラム


厚生局による医療機関・保険医への個別指導と監査に関する弁護士のコラムです。
診療録、紙カルテの取り扱いに関する指摘事項の他にもコラムがございます。
個別指導(医科)の際に、また日常の医院運営にご活用下さい。

 1 個別指導と監査の対応法

1  医療機関への厚生局の個別指導の対応法

 2 保険診療での指摘事項

1  指摘事項のコラム一覧

2  指摘事項(1):診療録(カルテ)の取り扱い

3  指摘事項(2):傷病名の記載、入力、整理

4  指摘事項(3):初診料

5  指摘事項(4):再診料、電話等による再診

6  指摘事項(5):情報通信機器を用いた診療

7  指摘事項(6):時間外加算、休日加算、深夜加算

8  指摘事項(7):夜間・早朝等加算

9  指摘事項(8):機能強化加算

10 指摘事項(9):外来管理加算

11 指摘事項(10):地域包括診療加算

12 指摘事項(11):認知症地域包括診療加算

13 指摘事項(12):薬剤適正使用連携加算

14 指摘事項(13):医療情報取得加算

15 指摘事項(14):看護師等遠隔診療補助加算

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