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施設基準の情報通信機器での診療(初診料、再診料)の厚生局の指摘事項(医科)、算定留意事項のコラムです。厚生局の個別指導は弁護士にご相談下さい。

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保険診療での指摘事項(5):情報通信機器を用いた診療

医療機関への個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼頂き、指導監査に対応しています。

個別指導・監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、医科の医療機関の保険診療に関して、初診料、再診料に係る施設基準の情報通信機器を用いた診療での確認事項、個別指導での指摘事項、算定要件、算定留意事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省の医療指導監査室の保険診療確認事項リスト(医科)令和6年度改訂版ver.1に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取り扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる可能性があることに注意が必要です。

なお、厚生局の個別指導、新規個別指導に臨む保険医である医師の方は、まずは以下のコラムをご覧いただくことをお勧めします。

【コラム】1 厚生局の医療機関への個別指導の対応法

     2 厚生局の新規個別指導の手続きの概要


初診料・再診料での情報通信機器を用いた診療の指摘事項


 1 情報通信機器を用いた診療での不適切な算定

初・再診料での情報通信機器を用いた診療について、次の不適切な例が認められたので改めること。

すなわち、
・厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って情報通信機器を用いた診療を行っていない。

・情報通信機器を用いた診療について、診療内容、診療日及び診療時間等の要点が診療録に記載されていない。

・保険医療機関外で情報通信機器を用いた診療を実施した場合、診療を実施した場所について事後的に確認できない。

・急変時等に夜間や休日など、当該保険医療機関がやむを得ず対応できない場合に患者が速やかに受診できる医療機関において対面診療を行えるよう、事前に受診可能な医療機関を患者に説明していない。

・急変時等に夜間や休日など、当該保険医療機関がやむを得ず対応できない場合に患者が速やかに受診できる医療機関について説明した次の内容について、診療録に記載がない。
 ・当該患者に「かかりつけの医師」がいる場合であるが、当該医師が所属する医療機関名について記載がない。
 ・当該患者に「かかりつけの医師」がいない場合であるが、[対面診療により診療できない理由・適切な医療機関としての紹介先の医療機関名・紹介方法・患者の同意]について記載がない。

・オンライン診療を行った医療機関において、対面診療を提供できる体制を有しない。

・患者の状況によって対応することが困難な場合に、ほかの医療機関と連携して対応できる体制を有しない。

・オンライン指針に沿った適切な[診療・処方]であることについて、診療録に記載がない。

【コメント】
初診料、再診料に係る施設基準の情報通信機器を用いた診療においては、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に基づき診療を行うことが求められます。

情報通信機器を用いた診療を実施する場合、当該診療を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として徴収できることとされており、当該費用の徴収に当たって、患者から署名により同意を得ることとされているが、電子署名法上の電子署名又はこれに準ずる方法(患者本人による同意であることなどが担保されている方法)を用いることにより同意を得ることは可能であるとされています。

また、初診料の情報通信機器を用いた初診を行った結果、医師が続けて対面診療を行う必要があると判断し、患者に来院して対面診療を受けるよう指示し、同日に当該保険医療機関において対面診療を行った場合の初診料の算定は、対面での初診料のみを算定することとされていますので、留意が必要です。

参考:情報通信機器を用いた診療に関する留意事項通知(令和6年3月5日)
第1部 初・再診料
 第1節 初診料
<初診料>
(2) 「注1」のただし書に規定する情報通信機器を用いた診療については、以下のアからキまでの取扱いとする。
ア 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下「オンライン指針」という。)に沿って情報通信機器を用いた診療を行った場合に算定する。なお、この場合において、診療内容、診療日及び診療時間等の要点を診療録に記載すること。

イ 情報通信機器を用いた診療は、原則として、保険医療機関に所属する保険医が保険医療機関内で実施すること。なお、保険医療機関外で情報通信機器を用いた診療を実施する場合であっても、オンライン指針に沿った適切な診療が行われるものであり、情報通信機器を用いた診療を実施した場所については、事後的に確認可能な場所であること。

ウ 情報通信機器を用いた診療を行う保険医療機関について、患者の急変時等の緊急時には、原則として、当該保険医療機関が必要な対応を行うこと。ただし、夜間や休日など、当該保険医療機関がやむを得ず対応できない場合については、患者が速やかに受診できる医療機関において対面診療を行えるよう、事前に受診可能な医療機関を患者に説明した上で、以下の内容について、診療録に記載しておくこと。
(イ)当該患者に「かかりつけの医師」がいる場合には、当該医師が所属する医療機関名
(ロ)当該患者に「かかりつけの医師」がいない場合には、対面診療により診療できない理由、適切な医療機関としての紹介先の医療機関名、紹介方法及び患者の同意

エ オンライン指針において、「対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められる」とされていることから、保険医療機関においては、対面診療を提供できる体制を有すること。また、「オンライン診療を行った医師自身では対応困難な疾患・病態の患者や緊急性がある場合については、オンライン診療を行った医師がより適切な医療機関に自ら連絡して紹介することが求められる」とされていることから、患者の状況によって対応することが困難な場合には、ほかの医療機関と連携して対応できる体制を有すること。

オ 情報通信機器を用いた診療を行う際には、オンライン指針に沿って診療を行い、オンライン指針において示されている一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」等を踏まえ、当該診療がオンライン指針に沿った適切な診療であることを診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また、処方を行う際には、オンライン指針に沿って処方を行い、一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」等の関係学会が定める診療ガイドラインを踏まえ、当該処方がオンライン指針に沿った適切な処方であることを診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

カ 情報通信機器を用いた診療を行う際は、予約に基づく診察による特別の料金の徴収はできない。

キ 情報通信機器を用いた診療を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。

 第2節 再診料
<再診料>
(2) 「注1」に規定する情報通信機器を用いた再診については、「A000」初診料の(2)の取扱いと同様である。ただし、この場合にあっては外来管理加算は算定できない。



厚生局の個別指導、監査に臨む医師、医療機関の方はお電話下さい。適切な対応を弁護士がアドバイスします。


医療機関・医師への指導、監査のコラム


厚生局による医療機関・保険医への個別指導と監査に関する弁護士のコラムです。
施設基準の情報通信機器での診療(初診料・再診料)の指摘事項、算定要件、算定での留意事項の他にもコラムがございます。
個別指導(医科)の際に、また日常の医院運営にご活用下さい。

 1 個別指導と監査の対応法

1  医療機関への厚生局の個別指導の対応法

 2 保険診療での指摘事項

1  指摘事項のコラム一覧

2  指摘事項(1):診療録(カルテ)の取り扱い

3  指摘事項(2):傷病名の記載、入力、整理

4  指摘事項(3):初診料

5  指摘事項(4):再診料、電話等による再診

6  指摘事項(5):情報通信機器を用いた診療

7  指摘事項(6):時間外加算、休日加算、深夜加算

8  指摘事項(7):夜間・早朝等加算

9  指摘事項(8):機能強化加算

10 指摘事項(9):外来管理加算

11 指摘事項(10):地域包括診療加算

12 指摘事項(11):認知症地域包括診療加算

13 指摘事項(12):薬剤適正使用連携加算

14 指摘事項(13):医療情報取得加算

15 指摘事項(14):看護師等遠隔診療補助加算

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