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初診料の医療機関の算定での厚生局の指摘事項(医科)、算定留意事項のコラムです。厚生局の個別指導、監査は、指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険診療での指摘事項(3):初診料

医療機関への個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼頂き、指導監査に対応しています。

個別指導・監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、医科の医療機関の保険診療に関して、初診料の算定での確認事項、個別指導での指摘事項、算定要件、算定留意事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省の医療指導監査室の保険診療確認事項リスト(医科)令和6年度改訂版ver.1に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取り扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる可能性があることに注意が必要です。

なお、厚生局の個別指導、新規個別指導に臨む保険医である医師の方は、まずは以下のコラムをご覧いただくことをお勧めします。

【コラム】1 厚生局の個別指導、監査の対応法

     2 厚生局の新規個別指導の手続きの概要


初診料での指摘事項


 1 初診料の不適切な算定

初診料について、次の不適切な例が認められたので改めること。

すなわち、
・現に診療中の患者に対して新たな傷病の診断を行った際に、初診料を算定している。

・慢性疾患等明らかに同一の疾病又は傷病の診療を行った場合にもかかわらず、初診料を算定している。

・健康診断を目的とする受診により疾患が発見された患者について、[当該保険医・当該疾患を発見した保険医の属する保険医療機関の保険医]が治療を開始した場合にもかかわらず、初診料を算定している。

・初診に附随する一連の行為とみなされる次に掲げる場合には、これらに要する費用は当該初診料に含まれ、別に再診料を算定できないにもかかわらず算定している。
 ・初診時に行った検査、画像診断の結果のみを聞きに来た場合
 ・往診等の後に薬剤のみを取りに来た場合
 ・初診の際検査、画像診断、手術等の必要を認めたが、一旦帰宅し、後刻又は後日検査、画像診断、手術等を受けに来た場合

・看護に当たっている者から、症状を聞いて薬剤を処方し、初診料を算定している。

【コメント】
上記のとおり、初診料は、慢性疾患等明らかに同一の疾病の診療では算定できませんので、留意が必要です。

初診料に関して、同一日に、1つ目の診療科を再診で受診し、その後に2つ目の診療科を初診で受診した場合は算定可能であり、また、同一日に、1つ目の診療科を初診で受診し、その後に2つ目の診療科を再診で受診した場合も算定可能であり、初診の診療科と再診の診療科の順番は問わないとされています。なお、同一日に3つの診療料を受診する場合、3つ目は算定できないとされています。また、診療所においても、要件を満たせば算定可とされていますので、留意が必要です。

参考:初診料に関する留意事項通知(令和6年3月5日)
第1部 初・再診料
<通則>
1 同一の保険医療機関(医科歯科併設の保険医療機関(歯科診療及び歯科診療以外の診療を併せて行う保険医療機関をいう。以下同じ。)を除く。)において、2以上の傷病に罹っている患者について、それぞれの傷病につき同時に初診又は再診を行った場合においても、初診料又は再診料(外来診療料を含む。)は1回に限り算定するものであること。
 同一の保険医療機関において、2人以上の保険医(2以上の診療科にわたる場合も含む。)が初診又は再診を行った場合においても、同様であること。
 ただし、初診料の「注5」のただし書に規定する同一保険医療機関において、同一日に他の傷病について、新たに別の医療法施行令第3条の2第1項及び第2項に規定する診療科を初診として受診した場合並びに再診料の「注3」及び外来診療料の「注5」に規定する同一保険医療機関において、同一日に他の傷病で別の診療科を再診として受診した場合の2つ目の診療科については、この限りでない。

2 初診又は再診が行われた同一日であるか否かにかかわらず、当該初診又は再診に附随する一連の行為とみなされる次に掲げる場合には、これらに要する費用は当該初診料又は再診料若しくは外来診療料に含まれ、別に再診料又は外来診療料は算定できない。
ア 初診時又は再診時に行った検査、画像診断の結果のみを聞きに来た場合
イ 往診等の後に薬剤のみを取りに来た場合
ウ 初診又は再診の際検査、画像診断、手術等の必要を認めたが、一旦帰宅し、後刻又は後日検査、画像診断、手術等を受けに来た場合

3 医科歯科併設の保険医療機関において、医科診療に属する診療科に係る傷病につき入院中の患者が歯又は口腔の疾患のために歯科において初診若しくは再診を受けた場合、又は歯科診療に係る傷病につき入院中の患者が他の傷病により医科診療に属する診療科において初診若しくは再診を受けた場合等、医科診療と歯科診療の両者にまたがる場合は、それぞれの診療科において初診料又は再診料(外来診療料を含む。)を算定することができる。
 ただし、同一の傷病又は互いに関連のある傷病により、医科と歯科を併せて受診した場合には、主たる診療科においてのみ初診料又は再診料(外来診療料を含む。)を算定する。

4 医療法(昭和23年法律第205号)に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中にあっては、再診料(外来診療料を含む。)(ただし、再診料の注5及び注6に規定する加算並びに外来診療料の注8及び注9に規定する加算を除く。)は算定できない。また、入院中の患者が当該入院の原因となった傷病につき、診療を受けた診療科以外の診療科で、入院の原因となった傷病以外の傷病につき再診を受けた場合においても、再診料(外来診療料を含む。)は算定できない。なお、この場合において、再診料(外来診療料を含む。)(ただし、再診料の注5及び注6に規定する加算並びに外来診療料の注8及び注9に規定する加算を除く。)以外の検査、治療等の費用の請求については、診療報酬明細書は入院用を用いること。

5 初診又は再診において、患者の診療を担う保険医の指示に基づき、当該保険医の診療日以外の日に訪問看護ステーション等の看護師等が、当該患者に対し点滴又は処置等を実施した場合に、使用した薬剤の費用については第2章第2部第3節薬剤料により、特定保険医療材料の費用については同第4節特定保険医療材料料により、当該保険医療機関において算定する。なお、当該薬剤の費用は、継続的な医学管理を行う必要がある場合に算定するものとし、「A000」初診料の算定のみの場合にあっては算定できない。また、同様に当該看護師等が検査のための検体採取等を実施した場合には、当該保険医療機関において、第2章第3部第1節第1款検体検査実施料を算定するとともに、検体採取に当たって必要な試験管等の材料を患者に対して支給すること。

6 算定回数が「週」単位又は「月」単位とされているものについては、特に定めのない限り、それぞれ日曜日から土曜日までの1週間又は月の初日から月の末日までの1か月を単位として算定する。

 第1節 初診料
<初診料>
(1) 特に初診料が算定できない旨の規定がある場合を除き、患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為があった場合に、初診料を算定する。なお、同一の保険医が別の医療機関において、同一の患者について診療を行った場合は、最初に診療を行った医療機関において初診料を算定する。

(3) 患者が異和を訴え診療を求めた場合において、診断の結果、疾病と認むべき徴候のない場合にあっても初診料を算定できる。

(4) 自他覚的症状がなく健康診断を目的とする受診により疾患が発見された患者について、当該保険医が、特に治療の必要性を認め治療を開始した場合には、初診料は算定できない。
 ただし、当該治療(初診を除く。)については、医療保険給付対象として診療報酬を算定できること。

(5) (4)にかかわらず、健康診断で疾患が発見された患者が、疾患を発見した保険医以外の保険医(当該疾患を発見した保険医の属する保険医療機関の保険医を除く。)において治療を開始した場合には、初診料を算定できる。

(6) 労災保険、健康診断、自費等(医療保険給付対象外)により傷病の治療を入院外で受けている期間中又は医療法に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中にあっては、当該保険医療機関において医療保険給付対象となる診療を受けた場合においても、初診料は算定できない。

(13) 現に診療継続中の患者につき、新たに発生した他の傷病で初診を行った場合には、当該新たに発生した傷病について初診料は算定できない。
 ただし、「注5」のただし書に規定する同一保険医療機関において、同一日に他の傷病(1つ目の診療科で診療を受けた疾病又は診療継続中の疾病と同一の疾病又は互いに関連のある疾病以外の疾病のことをいう。以下同じ。)について、新たに別の診療科(医療法上の標榜診療科のことをいう。以下同じ。)を初診として受診した場合(1つ目の診療科の保険医と同一の保険医から診察を受けた場合を除く。以下、同じ。)は、現に診療継続中の診療科を除く診療科1つに限り、同ただし書の所定点数を算定できる。また、診療継続中以外の患者であって、同一日に他の傷病で2以上の診療科を初診として受診する場合においても、2つ目の診療科に限り、同ただし書の所定点数を算定できる。この場合にお いて、「注6」から「注16」までに規定する加算は、算定できない。なお、患者が専門性の高い診療科を適切に受診できるよう保険医療機関が設置した総合外来等については、診療科とみなさず、総合外来等を受診後、新たに別の診療科を受診した場合であっても同ただし書の所定点数は算定できない。

(14) 患者が任意に診療を中止し、1月以上経過した後、再び同一の保険医療機関において診療を受ける場合には、その診療が同一病名又は同一症状によるものであっても、その際の診療は、初診として取り扱う。なお、この場合において、1月の期間の計算は、例えば、2月10日〜3月9日、9月15日〜10月14日等と計算する。

(15) (14)にかかわらず、慢性疾患等明らかに同一の疾病又は負傷であると推定される場合の診療は、初診として取り扱わない。

(16) A保険医療機関には、検査又は画像診断の設備がないため、B保険医療機関(特別の関係にあるものを除く。)に対して、診療状況を示す文書を添えてその実施を依頼した場合には、次のように取り扱うものとする。(「B009」診療情報提供料(T)の(5)から(7)までを参照。)
ア B保険医療機関が単に検査又は画像診断の設備の提供にとどまる場合
 B保険医療機関においては、診療情報提供料、初診料、検査料、画像診断料等は算定できない。なお、この場合、検査料、画像診断料等を算定するA保険医療機関との間で合議の上、費用の精算を行うものとする。
イ B保険医療機関が、検査又は画像診断の判読も含めて依頼を受けた場合
 B保険医療機関においては、初診料、検査料、画像診断料等を算定できる。



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医療機関・医師への指導、監査のコラム


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 1 個別指導と監査の対応法

1  医療機関への厚生局の個別指導の対応法

 2 保険診療での指摘事項

1  指摘事項のコラム一覧

2  指摘事項(1):診療録(カルテ)の取り扱い

3  指摘事項(2):傷病名の記載、入力、整理

4  指摘事項(3):初診料

5  指摘事項(4):再診料、電話等による再診

6  指摘事項(5):情報通信機器を用いた診療

7  指摘事項(6):時間外加算、休日加算、深夜加算

8  指摘事項(7):夜間・早朝等加算

9  指摘事項(8):機能強化加算

10 指摘事項(9):外来管理加算

11 指摘事項(10):地域包括診療加算

12 指摘事項(11):認知症地域包括診療加算

13 指摘事項(12):薬剤適正使用連携加算

14 指摘事項(13):医療情報取得加算

15 指摘事項(14):看護師等遠隔診療補助加算

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