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ポジトロン断層撮影での厚生局の指摘事項(医科)、算定留意事項のコラムです。厚生局の個別指導、監査は、弁護士にご相談下さい。

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保険診療での指摘事項(160):ポジトロン断層撮影

医療機関への個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼頂き、指導監査に対応しています。

個別指導・監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、医科の医療機関の保険診療に関して、ポジトロン断層撮影での確認事項、個別指導での指摘事項、算定要件、算定留意事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省の医療指導監査室の保険診療確認事項リスト(医科)令和6年度改訂版ver.1に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取り扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる可能性があることに注意が必要です。

なお、厚生局の個別指導、新規個別指導に臨む保険医である医師の方は、まずは以下のコラムをご覧いただくことをお勧めします。

【コラム】1 厚生局の個別指導と監査の対応法

     2 厚生局の新規個別指導の手続き概要


ポジトロン断層撮影での指摘事項


 1 ポジトロン断層撮影の不適切な算定

18FDGを用いたポジトロン断層撮影について、定められた要件を満たすてんかん、心疾患若しくは血管炎の診断又は定められた要件を満たす悪性腫瘍(早期胃癌を除き、悪性リンパ腫を含む。)の病期診断若しくは転移・再発の診断を目的とした場合以外に算定している。

【コメント】
ポジトロン断層撮影に関し、PET撮影の要件について、例えば肺癌であれば、他の検査、画像診断により肺癌の存在を疑うが、病理診断により確定診断が得られない患者について、病理診断による確定診断が得られなかった場合については、臨床上高い蓋然性をもって悪性腫瘍と診断されれば、算定できるとされています。

また、ポジトロン断層撮影における「放射性医薬品管理者」とは、日本核医学会、日本核医学技術学会、日本診療放射線技師会及び日本病院薬剤師会の「放射性医薬品取り扱いガイドライン」においては、「放射性医薬品管理者は、各医療機関の「医薬品の安全使用のための業務手順書」に従い放射性医薬品の安全確保に関する業務を総括するものとし、定期的に「医薬品安全管理責任者」に保管・使用状況、放射性医薬品の安全使用のための研修の実施及び放射性医薬品の品質について年1回以上報告し、放射性医薬品が廃棄されるまでの管理を行う」こととされているとされていますので、留意が必要です。

参考:ポジトロン断層撮影に関する留意事項通知(令和6年3月5日)
第4部 画像診断
 第2節 核医学診断料
<ポジトロン断層撮影>
(1) ポジトロン断層撮影は、撮影の方向、スライスの数、撮影の部位数及び疾患の種類等にかかわらず所定点数のみにより算定する。

(2) 15O標識ガス剤を用いた場合
ア 「1」の15O標識ガス剤を用いた場合(一連の検査につき)について、当該画像診断に伴って行われる血液ガス分析の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
イ ターゲットガス(窒素、酸素、二酸化炭素)等の15O標識ガス剤の合成及び吸入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 18FDGを用いた場合
ア 「2」の18FDGを用いた場合(一連の検査につき)については、てんかん、心疾患若しくは血管炎の診断又は悪性腫瘍(早期胃癌を除き、悪性リンパ腫を含む。)の病期診断若しくは転移・再発の診断を目的とし、次の表に定める要件を満たす場合に限り算定する。
1.てんかん 難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる患者に使用する。
2.心疾患 虚血性心疾患による心不全患者における心筋組織のバイアビリティ診断(他の検査で判断のつかない場合に限る。)、心サルコイドーシスの診断(心臓以外で類上皮細胞肉芽腫が陽性でサルコイドーシスと診断され、かつ心臓病変を疑う心電図又は心エコー所見を認める場合に限る。)又は心サルコイドーシスにおける炎症部位の診断が必要とされる患者に使用する。
3.悪性腫瘍(早期胃癌を除き、悪性リンパ腫を含む。) 他の検査又は画像診断により病期診断又は転移若しくは再発の診断が確定できない患者に使用する。
4.血管炎 高安動脈炎等の大型血管炎において、他の検査で病変の局在又は活動性の判断のつかない患者に使用する。
イ 18FDG製剤を医療機関内で製造する場合は、18FDG製剤の製造に係る衛生管理、品質管理等については、関係学会の定める基準を参考として、十分安全な体制を整備した上で実施すること。なお、高安動脈炎等の大型血管炎の診断に用いる18FDG製剤については、当該診断のために用いるものとして薬事承認を得ている18FDG製剤を使用した場合に限り算定する。
ウ 当該画像診断を実施した同一月内に悪性腫瘍の診断の目的で「E100」シンチグラム(画像を伴うもの)(ガリウムにより標識された放射性医薬品を用いるものに限る。)を実施した場合には、主たるもののみを算定する。
エ 18FDGの合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(4) 13N標識アンモニア剤を用いた場合
ア 「3」の13N標識アンモニア剤を用いた場合(一連の検査につき)については、他の検査で判断のつかない虚血性心疾患の診断を目的として行った場合に算定する。なお、負荷に用いる薬剤料は所定点数に含まれ、別に算定できない。
イ 13N標識アンモニア剤の合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 18F標識フルシクロビンを用いた場合
ア 「4」の18F標識フルシクロビンを用いた場合(一連の検査につき)については、初発の悪性神経膠腫が疑われる患者に対して、腫瘍摘出範囲の決定の補助を目的として、腫瘍の可視化に用いるものとして薬事承認を得ている放射性医薬品を用いて行った場合に限り算定する。
イ 18F標識フルシクロビンの注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(6) アミロイドPETイメージング剤を用いた場合
ア 「5」のアミロイドPETイメージング剤を用いた場合(一連の検査につき)については、厚生労働省の定めるレカネマブ(遺伝子組換え)製剤に係る最適使用推進ガイドラインに沿って、アルツハイマー病による軽度認知障害又は軽度の認知症が疑われる患者等に対し、レカネマブ(遺伝子組換え)製剤の投与の要否を判断する目的でアミロイドβ病理を示唆する所見を確認する場合に、患者1人につき1回に限り算定する。ただし、レカネマブ(遺伝子組換え)製剤の投与中止後に初回投与から18か月を超えて再開する場合は、さらに1回に限り算定できる。なお、この場合においては、本撮影が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
イ 「5」の「イ」放射性医薬品合成設備を用いた場合については、使用目的又は効果として、アミロイドPETイメージング剤の製造に使用するものとして薬事承認又は認証を得ている放射性医薬品合成設備を用いて、アミロイドPETイメージング剤を医療機関内で製造した場合に限り算定する。ただし、アミロイドPETイメージング剤の製造に係る衛生管理、品質管理等については、関係学会の定める基準を参考として、十分安全な体制を整備した上で実施すること。なお、アミロイドPETイメージング剤の合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
ウ 「5」の「ロ」イ以外の場合については、効能又は効果として、アルツハイマー病による軽度認知障害又は認知症が疑われる患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化に用いるものとして薬事承認を得ているアミロイドPETイメージング剤を使用した場合に限り算定する。なお、アミロイドPETイメージング剤の注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
エ レカネマブ(遺伝子組換え)製剤の投与の要否を判断する目的で、「E101-3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影(一連の検査につき)の「4」アミロイドPETイメージング剤を用いた場合(一連の検査につき)又は「E101-4」ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影(一連の検査につき)の「3」アミロイドPETイメージング剤を用いた場合(一連の検査につき)を併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する。

(7) ポジトロン断層撮影と同時に同一の機器を用いて行ったコンピューター断層撮影の費用はポジトロン断層撮影の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(8) 当該撮影に用いる放射性医薬品については、専門の知識及び経験を有する放射性医薬品管理者の下で管理されていることが望ましい。



厚生局の個別指導、監査に臨む医師、医療機関の方はお電話下さい。適切な対応を弁護士がアドバイスします。


医療機関・医師への指導、監査のコラム


厚生局による医療機関・保険医への個別指導と監査に関する弁護士のコラムです。
ポジトロン断層撮影での指摘事項、算定要件、算定での留意事項の他にもコラムがございます。
個別指導(医科)の際に、また日常の医院運営にご活用下さい。

 1 個別指導と監査の対応法

1  医療機関への厚生局の個別指導の対応法

 2 保険診療での指摘事項

1  指摘事項のコラム一覧

2  指摘事項(147):検査、画像診断、病理診断

3  指摘事項(148):尿沈渣(鏡検法)

4  指摘事項(149):腫瘍マーカー

5  指摘事項(150):前立腺特異抗原(PSA)

6  指摘事項(151):ヘリコバクター・ピロリ

7  指摘事項(152):抗シトルリン化ペプチド

8  指摘事項(153):超音波検査

9  指摘事項(154):残尿測定検査

10 指摘事項(155):呼吸心拍監視

11 指摘事項(156):終夜睡眠ポリグラフィー

12 指摘事項(157):神経学的検査

13 指摘事項(158):平衡機能検査

14 指摘事項(159):画像診断管理加算

15 指摘事項(160):ポジトロン断層撮影

16 指摘事項(161):PET/CT

17 指摘事項(162):病理診断管理加算

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