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通院精神療法(イ、ロ、ハ)での厚生局の指摘事項(医科)、算定留意事項のコラムです。厚生局の個別指導は、弁護士にご相談下さい。

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保険診療での指摘事項(189):通院精神療法

医療機関への個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼頂き、指導監査に対応しています。

個別指導・監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、医科の医療機関の保険診療に関して、通院精神療法(イ・ロ・ハ)での指摘事項、算定要件、算定留意事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省の医療指導監査室の保険診療確認事項リスト(医科)令和6年度改訂版ver.1に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取り扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる可能性があることに注意が必要です。

なお、厚生局の個別指導、新規個別指導に臨む保険医である医師の方は、まずは以下のコラムをご覧いただくことをお勧めします。

【コラム】1 厚生局の個別指導と弁護士の同席

     2 厚生局の新規個別指導の手続き概要


通院精神療法での指摘事項


 1 通院精神療法の不適切な算定

診療の要点について診療録への記載が[ない・個々の患者の状態に応じた記載になっていない・不十分である]。

当該診療に要した時間について診療録への記載が[ない・30分以上が明確でない場合で、10分単位に記載されていない・5分以上10分未満の診療の場合で「5分以上10分未満」と記載していない]。

家族関係が当該疾患の原因又は増悪の原因と推定される場合でないにもかかわらず、患者の家族に対する通院・在宅精神療法として算定している。

医師以外の職員による相談等で要した時間を、診療に要した時間に含めている。

患者の家族に対する病状説明、服薬指導等一般的な療養指導について算定している。

特定薬剤副作用評価加算について、[薬原性錐体外路症状評価尺度を用いていない・薬原性錐体外路症状評価尺度の結果と治療方針について診療録に記載がない]。

【コメント】
通院精神療法の算定に関して、精神科を再診で受診し、同一医療機関内の精神科以外の診療科を初診で受診し初診料を算定した場合、精神科で行った通院精神療法又は心身医学療法について、初診時の点数は算定できないとされています。

さらに、通院精神療法の算定に関して、通院・在宅精神療法の注1にある、退院後4週間以内の期間に行われる場合は、入院していた病院や、診療所が行った場合でも週2回算定可能であるとされています。

また、通院精神療法の算定に関して、精神科と神経内科を標榜する病院で、精神科担当医が、神経内科として診療する時間は算定できないとされていますので、注意が求められます。

参考:通院精神療法に関する留意事項通知(令和6年3月5日)
第8部 精神科専門療法
 第1節 精神科専門療法料
<通院・在宅精神療法>
(1) 通院・在宅精神療法とは、入院中の患者以外の患者であって、精神疾患又は精神症状を伴う脳器質性障害があるもの(患者の著しい病状改善に資すると考えられる場合にあっては当該患者の家族)に対して、精神科を担当する医師(研修医を除く。以下この区分において同じ。)が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法をいう。

(2) 通院・在宅精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が行った場合に限り算定する。

(3) 通院・在宅精神療法は、同時に複数の患者又は複数の家族を対象に集団的に行われた場合には算定できない。

(4) 通院・在宅精神療法の「1」のイ及び「1」のハの(2)並びに「2」のイ及び「2」のハの(3)は、診療に要した時間が5分を超えたときに限り算定する。

(5) 通院・在宅精神療法の「1」のロ及び「2」のロは、「A000」初診料を算定する初診の日(「A000」の初診料の「注5」のただし書に規定する初診を含む。)は、診療に要した時間が60分以上の場合に限り算定することとし、「1」のハの(1)及び「2」のハの(2)は、診療に要した時間が30分以上の場合に、「2」のハの(1)は、診療に要した時間が60分以上の場合に限り算定する。この場合において、診療に要した時間とは、医師が自ら患者に対して行う問診、身体診察(視診、聴診、打診及び触診をいう。)及び当該通院・在宅精神療法に要する時間をいい、これら以外の診療及び医師以外の職員による相談等に要する時間は含まない。

(6) 通院・在宅精神療法の「1」のイ及び「2」のイについては、当該患者の退院後支援についての総合調整を担う都道府県、保健所を設置する市又は特別区(以下「都道府県等」という。)が、精神障害者の退院後支援に関する指針を踏まえて作成する退院後支援に関する計画に基づく支援期間にある患者に対し、当該計画において外来又は在宅医療を担うこととされている保険医療機関の精神科の医師が実施した場合に限り算定できる。

(7) 通院・在宅精神療法の「1」のイ又は「1」のロ及び「2」のイ又は「2」のロを算定する保険医療機関においては、以下のいずれかの要件に該当していること等、標榜時間外において、所属する保険医療機関を継続的に受診している患者に関する電話等の問合せに応じる体制を整備するとともに、必要に応じてあらかじめ連携している保険医療機関に紹介できる体制を有していることが望ましい。
ア 「A001」再診料の時間外対応加算1の届出を行っていること。
イ 精神科救急情報センター、都道府県、市町村、保健所、警察、消防(救急車)、救命救急センター、一般医療機関等からの患者に関する問合せ等に対し、原則として当該保険医療機関において、常時対応できる体制がとられていること。また、やむを得ない事由により、電話等による問合せに応じることができなかった場合であっても、速やかに折り返して電話することができる体制がとられていること。

(8) 通院・在宅精神療法を算定するに当たっては、診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を10分単位で記載すること。ただし、30分又は60分を超える診療を行った場合であって、当該診療に要した時間が明確でない場合には、当該診療に要した時間が30分又は60分を超えたことが明らかであると判断される精神療法を行った場合に限り、「○分超」などの記載でも差し支えない。また、5分を超えて10分未満の診療を行った場合は、「5分を超え10分未満」と記載する。

(9) 当該患者の家族に対する通院・在宅精神療法は、家族関係が当該疾患の原因又は増悪の原因と推定される場合に限り算定する。ただし、患者の病状説明、服薬指導等一般的な療養指導である場合は、算定できない。家族に対して通院・在宅精神療法を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に(家族)と記載する。

(10) 通院・在宅精神療法を行った場合(家族に対して行った場合を含む。)は、その要点を診療録に記載する。

(11) 患者に対して通院・在宅精神療法を行った日と同一の日に家族に対して通院・在宅精神療法を行った場合における費用は、患者に対する通院・在宅精神療法の費用に含まれ、別に算定できない。

(12) 入院中の患者以外の精神疾患を有する患者に対して、通院・在宅精神療法に併せて「I004」心身医学療法が算定できる自律訓練法、森田療法等の療法を行った場合であっても、通院・在宅精神療法のみにより算定する。

(13) 当該患者に対する通院・在宅精神療法を算定した場合は、同じ日に「I003」標準型精神分析療法は算定できない。

(15) 通院・在宅精神療法を行った患者に対して、1回の処方において2種類以上の抗うつ薬又は2種類以上の抗精神病薬を投与した場合は、投与した抗うつ薬又は抗精神病薬の種類数及びその医療上の必要性並びに副作用等について患者に説明し、説明した内容を診療録に記載するとともに、説明を行った旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。



厚生局の個別指導、監査に臨む医師、医療機関の方はお電話下さい。適切な対応を弁護士がアドバイスします。


医療機関・医師への指導、監査のコラム


厚生局による医療機関・保険医への個別指導と監査に関する弁護士のコラムです。
通院精神療法(イ・ロ・ハ)での指摘事項、算定要件、算定での留意事項の他にもコラムがございます。
個別指導(医科)の際に、また日常の医院運営にご活用下さい。

 1 個別指導と監査の対応法

1  医療機関への厚生局の個別指導の対応法

 2 保険診療での指摘事項

1  指摘事項のコラム一覧

2  指摘事項(188):入院精神療法

3  指摘事項(189):通院精神療法

4  指摘事項(190):在宅精神療法

5  指摘事項(191):経頭蓋磁気刺激療法

6  指摘事項(192):精神科継続外来支援・指導料

7  指摘事項(193):標準型精神分析療法

8  指摘事項(194):認知療法・認知行動療法

9  指摘事項(195):心身医学療法

10 指摘事項(196):入院集団精神療法

11 指摘事項(197):精神科作業療法

12 指摘事項(198):精神科ショート・ケア

13 指摘事項(199):精神科デイ・ケア

14 指摘事項(200):精神科ナイト・ケア

15 指摘事項(201):精神科デイ・ナイト・ケア

16 指摘事項(202):精神科訪問看護・指導料

17 指摘事項(203):精神科訪問看護指示料

18 指摘事項(204):持続性抗精神病注射薬剤治療

19 指摘事項(205):治療抵抗性統合失調症治療

20 指摘事項(206):医療保護入院等診療料

21 指摘事項(207):重度認知症患者デイ・ケア料

22 指摘事項(208):精神科在宅患者支援管理料

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