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人工腎臓(慢性維持透析1・2・3,その他)での厚生局の指摘事項(医科)、算定留意事項のコラムです。厚生局の個別指導は、弁護士にご相談下さい。

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保険診療での指摘事項(215):人工腎臓

医療機関への個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼頂き、指導監査に対応しています。

個別指導・監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、医科の医療機関の保険診療に関して、人工腎臓(1 慢性維持透析を行った場合1,2 慢性維持透析を行った場合2,3 慢性維持透析を行った場合3,4 その他の場合)での指摘事項、算定要件、算定留意事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省の医療指導監査室の保険診療確認事項リスト(医科)令和6年度改訂版ver.1に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取り扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる可能性があることに注意が必要です。

なお、厚生局の個別指導、新規個別指導に臨む保険医である医師の方は、まずは以下のコラムをご覧いただくことをお勧めします。

【コラム】1 厚生局の個別指導と弁護士の同席

     2 厚生局の新規個別指導の手続き概要


人工腎臓(慢性維持透析1・2・3,その他)の指摘事項


 1 人工腎臓の不適切な算定

区分を誤って算定している。

本来(  )で算定すべきものについて、(  )で算定している。

継続して血液透析を実施する必要のない緊急透析の患者に対して導入期加算を算定している。

人工腎臓を行った時間(開始及び終了した時間を含む。)についての診療録等への記載がない。

人工腎臓を行った時間(開始及び終了した時間を含む。)についての診療録等に記載された[実施時間・開始時刻・終了時刻]が実際の[実施時間・時刻]と異なっている。

【コメント】
人工腎臓の算定について、人工腎臓と初再診料の夜間・早朝等加算の併算定は、注1の加算との併算定は出来ないが、注1の加算の対象とならない場合においては、算定できるとされています。

さらに、人工腎臓の算定について、シャントを用いず、ブラッドアクセス留置用カテーテル等を用いて人工腎臓を実施したときの人工腎臓の時間は、ブラッドアクセス留置用カテーテル等から、 血液を人工腎臓用特定保険医療材料に導き入れた時を起点として、人工腎臓用特定保険医療材料から血液を生体に返却し終えたときまでとするとされています。

また、人工腎臓の算定について、人工腎臓の施設基準に該当する保険医療機関であって、当該施設基準の届出を行わなかった保険医療機関は、「慢性維持透析を行った場合3」により算定するとされていますので、留意が求められます。

参考:人工腎臓に関する留意事項通知(令和6年3月5日)
第9部 処置
 処置料
<人工腎臓>
(1) 人工腎臓には、血液透析のほか血液濾過、血液透析濾過が含まれる。

(2) 人工腎臓を行う医療機関の規模や効率性等を踏まえた評価とする観点から、「1」については「慢性維持透析を行った場合1」の施設基準、「2」については「慢性維持透析を行った場合2」の施設基準の届出を行った保険医療機関において算定する。「慢性維持透析を行った場合3」については、「1」又は「2」の施設基準のいずれかに該当するものとして届出を行った保険医療機関以外の保険医療機関において算定する。ただし、「慢性維持透析を行った場合3」についても、関連学会から示されている基準に基づき、水質管理が適切に実施されていることが望ましい。

(3) 人工腎臓の時間は、シャント等から動脈血等を人工腎臓用特定保険医療材料に導き入れたときを起点として、人工腎臓用特定保険医療材料から血液を生体に返却し終えたときまでとする。したがって、人工腎臓実施前後の準備、整理等に要する時間は除かれる。

(4) 人工腎臓の時間等については、患者に対し十分な説明を行った上で、患者の病態に応じて、最も妥当なものとし、人工腎臓を行った時間(開始及び終了した時間を含む。)を診療録等に記載すること。また、治療内容の変更が必要となった場合においても、患者に十分な説明を行うこと。

(5) 妊娠中の患者以外の患者に対し、人工腎臓と「J038-2」持続緩徐式血液濾過を併せて1月に15回以上実施した場合(人工腎臓のみを15回以上実施した場合を含む。)は、15回目以降の人工腎臓又は持続緩徐式血液濾過は算定できない。ただし、薬剤料(透析液、血液凝固阻止剤、エリスロポエチン製剤、ダルベポエチン製剤、エポエチンベータペゴル製剤、HIF-PH阻害剤及び生理食塩水を含む。)又は特定保険医療材料料は別に算定できる。

(6) 「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している患者に対して行った場合には、「J042」腹膜灌流の「1」連続携行式腹膜灌流の実施回数と併せて週1回を限度として算定できる。また、「C102-2」在宅血液透析指導管理料を算定している患者に対して行った場合には、週1回を限度として算定できる。それを超えた回数を実施した場合は、薬剤料及び特定保険医療材料料に限り算定できる。なお、他の医療機関において「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している場合には、診療報酬明細書の摘要欄に、「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している保険医療機関名を記載した場合に限り、週1回を限度として算定できる。

(7) 人工腎臓の所定点数に含まれるものの取扱いについては、次の通りとする。
ア 「1」から「3」までの場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)には、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤、ダルベポエチン製剤、エポエチンベータペゴル製剤及びHIF-PH阻害剤の費用は所定点数に含まれており、別に算定できない。なお、生理食塩水には、回路の洗浄・充填、血圧低下時の補液、回収に使用されるもの等が含まれ、同様の目的で使用される電解質補液、ブドウ糖液等についても別に算定できない。
イ 「1」から「3」までにより算定する場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)においても、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤、ダルベポエチン製剤、エポエチンベータペゴル製剤及びHIF-PH阻害剤の使用について適切に行うこと。また、慢性維持透析患者の貧血の管理に当たっては、関係学会が示している腎性貧血治療のガイドラインを踏まえ適切に行うこと。
ウ 「1」から「4」までにより算定する場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)において人工腎臓灌流原液の希釈水の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。また、必要があって脱イオン(純水製造装置による)を行わなければ使用できない場合であっても同様である。
エ 「1」から「4」までにより算定する場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)において人工腎臓の希釈水に対してアルミニウム、フッ素、遊離塩素及びエンドトキシン等を除去する目的で逆浸透装置、活性炭フィルター及び軟水装置を用いて水処理を行った場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
オ 「1」から「4」までにより算定する場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)において人工腎臓の回路を通して行う注射料は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(8) 「4」 その他の場合は次の場合に算定する。
ア 急性腎不全の患者に対して行った場合
イ 透析導入期(導入後1月に限る。)の患者に対して行った場合
ウ 血液濾過又は血液透析濾過(「注13」の加算を算定する場合を除く。)を行った場合
エ 以下の合併症又は状態を有する患者((ニ)から(ヌ)までについては入院中の患者に限る。)に対して行った場合であって、連日人工腎臓を実施する場合や半減期の短い特別な抗凝固剤を使用する場合等特別な管理を必要とする場合
(イ) 重大な視力障害に至る可能性が著しく高い、進行性眼底出血(発症後2週間に限る。)
(ロ) 重篤な急性出血性合併症(頭蓋内出血、消化管出血、外傷性出血等)(発症後2週間に限る。)
(ハ) ヘパリン起因性血小板減少症
(ニ) 播種性血管内凝固症候群
(ホ) 敗血症
(ヘ) 急性膵炎
(ト) 重篤な急性肝不全
(チ) 悪性腫瘍(注射による化学療法中のものに限る。)
(リ) 自己免疫疾患の活動性が高い状態
(ヌ) 「L002」硬膜外麻酔、「L004」脊椎麻酔又は「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔による手術を実施した状態(手術前日から術後2週間に限る。)

(9) (8)の場合に該当し、「4」により算定する場合にあっては、(8)のアからエまで(エについては(イ)から(ヌ)まで)の中から該当するものを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(10) 人工腎臓における血液濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症若しくは透析困難症の患者又は緑内障、心包炎若しくは心不全を合併する患者について、血液透析を行った上で、その後血液濾過を実施した場合に限り算定できる。この場合の人工腎臓の費用は、「4」により算定する。

(11) 人工腎臓における血液透析濾過(「注13」の加算を算定する場合を除く。)は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症又は透析困難症の患者について実施した場合に限り算定できる。この場合の人工腎臓の費用は「4」により算定する。

(12) 「注1」の加算については、人工腎臓を緊急のため午後5時以降に開始したため又は緊急のため休日に行ったため、通則5による時間外加算等が算定できる場合にあっては、併せて算定できない。

(13) 「注1」の加算を算定する場合は、「A000」初診料の「注9」及び「A001」再診料の「注7」に掲げる夜間・早朝等加算は算定しない。

(14) 休日加算の対象となる休日とは、初診料における休日加算の対象となる休日と同じ取扱いである。ただし、日曜日である休日(日曜日である12月29日から1月3日までの日を除く。)は、休日加算の対象としない。

(15) 休日の午後5時以降に開始した場合又は午後9時以降に終了した場合にあっては、「注1」の加算を1回のみ算定できる。

(16) 療養の一環として行われた食事以外の食事が提供された場合には、患者から実費を徴収することができる。

(17) 「注2」の加算について、「イ」については、「導入期加算1」の施設基準、「ロ」については、「導入期加算2」の施設基準、「ハ」については、「導入期加算3」の施設基準の届出を行った保険医療機関において、それぞれ1日につき200点、410点又は810点を1月間 に限り算定する。なお、「人工腎臓における導入期」とは継続して血液透析を実施する必要があると判断された場合の血液透析の開始日より1月間をいう。

(19) 人工腎臓を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、「4」の場合であって、夜間に人工腎臓を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

(21) 「注11」の長時間加算については、次に掲げる状態の患者であって、通常の人工腎臓では管理困難な徴候を有するものについて、6時間以上の人工腎臓を行った場合に算定する。
ア 心不全徴候を認める又は血行動態の不安定な患者
イ 適切な除水、適切な降圧薬管理及び適切な塩分摂取管理を行っても高血圧が持続する患者
ウ 高リン血症が持続する患者

(22) 「注13」慢性維持透析濾過(複雑なもの)は、血液透析濾過のうち、透析液から分離作製した置換液を用いて血液透析濾過を行うことをいう。

(23) 原則として、関連学会から示されている基準に基づき、水質管理が適切に実施されていること及び透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者として専任の医師又は専任の臨床工学技士が1名以上配置されていること。

(24) 「1」から「3」までの場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)については、HIF-PH阻害剤は当該保険医療機関において院内処方することが原則である。なお、同一の患者に対して、同一診療日にHIF-PH阻害剤のみを院内において投薬する場合には、「F400」処方箋料の(9)の規定にかかわらず、他の薬剤を院外処方箋により投薬することとして差し支えない。



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医療機関・医師への指導、監査のコラム


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人工腎臓(慢性維持透析1・2・3,その他)での指摘事項、算定要件、算定での留意事項の他にもコラムがございます。
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 1 個別指導と監査の対応法

1  医療機関への厚生局の個別指導の対応法

 2 保険診療での指摘事項

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3  指摘事項(210):下肢創傷処置

4  指摘事項(211):熱傷処置

5  指摘事項(212):重度褥瘡処置

6  指摘事項(213):静脈圧迫処置

7  指摘事項(214):硬膜外自家血注入

8  指摘事項(215):人工腎臓

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10 指摘事項(217):下肢末梢動脈疾患指導管理加算

11 指摘事項(218):透析時運動指導等加算

12 指摘事項(219):血漿交換療法

13 指摘事項(220):吸着式血液浄化法

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