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厚生局の個別指導には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、リハビリテーションの運動器リハビリテーション料の算定に関して、保険診療、診療報酬請求で厚生局の個別指導を見据えて留意すべき事項のポイントをご説明します。ただし、以下は本コラム作成時点(2022年9月)のもので最新のものではなく、また、あくまで原則的なもので地域などにより運用等異なる場合がありますので、注意が必要です。
なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】厚生局の個別指導と監査
https://医科個別指導弁護士.com/ika-kobetushidou.html
運動器リハビリテーション料の留意事項
1 運動器リハビリテーション料の算定ルールのポイント
1 運動器リハビリテーション料とは
運動器リハビリテーション料は、施設基準に適合しているとして地方厚生局長に届出を行った医療機関において算定するものです。
基本的動作能力の回復等を通して、実用的な日常生活における諸活動の自立を図るために、種々の運動療法、実用歩行訓練、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法等を組み合わせて、個々の症例に応じて行った場合に算定できます。
医師の指導監督の下、理学療法士または作業療法士の監視下により行われたものについて算定します。また、専任の医師が、直接訓練を実施した場合であっても、理学療法士または作業療法士が実施した場合と同様に算定できます。
運動器リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションは、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士または作業療法士と患者が1対1で行います。なおリハビリテーションの実施単位数は、従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとなります。ただし、1日24単位を上限とします。また、実施単位数は、他の疾患別リハビリテーションおよび集団コミュニケーション療法の実施単位数を合わせた単位数であり、この場合にその従事者が心大血管疾患リハビリテーションを実施する場合は、実際に心大血管疾患リハビリテーションに従事した時間20分を1単位とみなした上で計算します。
なお、マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合は、リハビリテーションではなく処置として算定します。
2 算定の対象となる患者
運動器リハビリテーション料の対象となる患者は、上・下肢の複合損傷、脊椎損傷による四肢麻痺その他の急性発症した運動器疾患またはその手術後の患者や、関節の変性疾患、関節の炎症性疾患その他の慢性運動器疾患により、一定程度以上の運動機能および日常生活能力の低下を来している患者であって、以下のいずれかに該当するもので、医師が個別に運動器リハビリテーションが必要である認めるものとなります。
@ 急性発症した運動器疾患またはその手術後の患者とは、上・下肢の複合損傷(骨、筋・腱・靱帯、神経、血管のうち3種類以上の複合損傷)、脊椎損傷による四肢麻痺(1肢以上)、体幹・上・下肢の外傷・骨折、切断・離断(義肢)、運動器の悪性腫瘍等のものをいいます。
A 慢性の運動器疾患により、一定程度以上の運動機能および日常生活能力の低下を来している患者とは、関節の変性疾患、関節の炎症性疾患、熱傷瘢痕による関節拘縮、運動器不安定症、糖尿病足病変等のものをいいます。
発症、手術もしくは急性増悪または最初に診断された日から150日を限度として所定点数を算定できますが、一定の場合には、150日を超えて所定点数を算定することができます。標準的算定日数は、発症、手術もしくは急性増悪の日が明確な場合はその日から150日以内、それ以外の場合は最初に当該疾患が診断された日から150日以内となります。
3 所定点数に含まれるもの
運動器リハビリテーション料の所定点数には、徒手筋力検査およびその他のリハビリテーションに付随する諸検査が含まれます。
2 算定上の留意事項
1 算定ルールの留意事項
運動器リハビリテーションを行っている傷病等について、患者が都合により任意に診療を中止し、1月以上経過した後診療を再開する場合でも、慢性疾患等明らかに同一の疾病または負傷であると推測される場合は、再開日が初診日とならず、また、同一の疾患等について運動器リハビリテーションを再開するのであれば、そのリハビリテーションの起算日は患者が診療を中止する前の当初の発症日等となります。
運動器不安定症に対しては、原則として運動器リハビリテーション料を算定します。ただし、運動器不安定症と診断する際、診断基準のうち「運動機能低下を来す疾患」が「長期臥床後の運動器廃用」の既往または罹患のみであった場合は、廃用症候群リハビリテーション料を算定します。また、運動器不安定症に対して廃用症候群リハビリテーション料を算定した患者について、その後、同一の保険医療機関で再び運動器不安定症を原因疾患としてリハビリテーションを開始する場合は、「運動機能低下を来す疾患」の該当状況にかかわらず、廃用症候群リハビリテーション料を算定します。
リハビリテーションの実施にあたっては、すべての患者の機能訓練の内容の要点と実施時刻(開始時刻と終了時刻)の記録を診療録・カルテ等に記載することが必要です。
医師は、定期的な機能検査等をもとに、その効果判定を行い、所定の様式を参考にしたリハビリテーション実施計画書をリハビリテーション開始後原則として7日以内、遅くとも14日以内に作成する必要があります。
リハビリテーション実施計画書の作成時およびその後3か月に1回以上(特段の定めがある場合を除きます。)、患者またはその家族等に対してそのリハビリテーション実施計画書の内容を説明の上で交付するとともに、その写しを診療録・カルテに添付します。なお、リハビリテーション実施計画書の作成前に運動器リハビリテーションを実施する場合には、医師が自ら実施する場合または実施するリハビリテーションについて医師の具体的指示があった場合に限り、算定できます。
2 厚生局の個別指導での指摘事項
運動器リハビリテーション料に関して厚生局の個別指導でしばしば指摘される事項として、例えば以下の事項が挙げられますので、十分留意して下さい。
@ 従業員1人1日あたりの実施単位数を適切に管理していない。具体的には、従事する職員1人ごとの毎日の訓練実施終了患者の一覧表を作成していない。また、従事者1人あたりの実施単位数が、1人1日24単位または1週間108単位を超えている。
A 所定の様式を参考としたリハビリテーション実施計画書を作成していない(原則7日以内、遅くとも14日以内に作成していない。)。リハビリテーション実施計画書の内容に不備がある(個々の患者に応じた記載になっていない。)。リハビリテーション実施計画書を、作成時・3か月毎に患者またはその家族等に医師が説明していない、計画書を交付してない、診療録・カルテに添付していない。計画書に自ら署名することが困難であり、かつ、遠方に居住している等の理由により患者の家族等が署名することが困難である場合に家族等に情報通信機器等を用いて計画書の内容等を説明した上で、説明内容およびリハビリテーションの継続について同意を得た旨を診療録・カルテに記載していない、または、患者またはその家族等への計画書の交付をしていない。
B 機能訓練の内容の要点について、診療録・カルテ等への記載がない(個々の患者の状態に応じた記載になっていない。)。機能訓練の開始時刻および終了時刻の診療録・カルテ等への記載がない(実際の時刻と異なっている。)。
C 実施時間(個別訓練の訓練時間)が20分に満たないものについて算定している。患者1人につき1日合計6単位を超えて(一定の患者については9単位を超えて)算定している。
D リハビリテーションの起算日について、標準的算定日数を経過する毎に対象疾患を変更している、同じ疾病のリハビリテーションを継続して行う場合に、発症日をリセットしている。
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