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往診料と在宅患者訪問診療料(在宅医療)の算定に係る保険診療(医科)のコラムです。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険診療での留意事項(6):往診料、在宅患者訪問診療料

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ここでは、在宅医療の往診料と在宅患者訪問診療料に関して、保険診療、診療報酬請求で厚生局の個別指導を見据えて留意すべき事項のポイントをご説明します。ただし、以下は原則的なものであり、地域などにより運用等異なる場合がありますので、注意が必要です。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、厚生局の指導監査の基本的な流れ、実施状況など記載していますので、まずはこちらのコラム厚生局の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。


往診料と在宅患者訪問診療料に関する留意事項


 1 往診料の算定ルールのポイント

1 往診療の算定

往診料は、患者や家族等患者の看護にあたる者が、保険医療機関に対して電話等で直接往診を求め、その保険医療機関の医師が往診の必要性を認めた場合に、可及的速やかに患家に赴き診療を行った場合に、算定できます。

定期的または計画的に患家または他の保険医療機関に赴いて診療を行った場合は、算定できません。電話等での特定の患者などからの求めに可及的速やかに応じた場合ではなく、保険診療の目的をもって定期に赴き、患者を診療する場合は、往診料の算定は認められませんので、注意が必要です。

なお、「可及的速やかに」とは、具体的にどの程度の時間をイメージすればよいのかですが、往診は、医師が往診の必要性を認めた場合に行うもので、往診の日時についても、依頼の詳細に応じた医師の医学的判断によるものとされています。

2 算定上の留意点

同一の患家または有料老人ホーム等であって、その形態から全体を同一の患家とみなすことが適当であるものにおいて、2人以上の患者を診察した場合は、2人目以降の患者については往診料を算定せず、初診料・再診料・外来診療料・特掲診療料のみを算定するものとされています。

往診を行った後に患者や家族等が単に薬剤を取りに医療機関に来た場合は、再診料・外来診療料は算定できません。

往診を求められて患家に赴いたものの、既に他医に受診していたため診察を行わずに帰った場合の往診料は、療養の給付の対象とされず、患者負担とされています。

保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える往診については、その保険医療機関からの往診を必要とする絶対的な理由がある場合に認められます。

絶対的理由とは具体的にどのような理由が該当するかですが、厳格に判断され、患家の所在地から半径16キロメートル以内に患家の求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在しない場合や、患者の求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在していたとしてもその保険医療機関が往診等を行っていない場合などが考えられるとされています。

保険医は、診療上必要があると認める場合は、他の保険医療機関の保険医の立合診察を求めることができますが、対診を求められて診察を行った保険医の属する医療機関からは、その基本診療料・往診料等は請求できるものの、他の治療行為にかかる特掲診療料は主治医の属する保険医療機関において請求し、治療を共同で行った場合の診療報酬の分配は相互の合議に委ねるものとされています。

往診に要した交通費は患家の負担とされています。この交通費は実費であり、自家用車による費用を含みますが、自転車やスクーター等の費用は往診料に含まれておりこの交通費には該当しないものとされています。

 2 在宅患者訪問診療料の算定ルールのポイント

1 在宅患者訪問診療料の算定

在宅患者訪問診療料は、複雑ですがその概要として、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院による療養が困難な患者に対して、定期的に訪問して診療を行った場合に算定できるものです。在宅で療養を行っている患者とは、保険医療機関、介護老人保健施設、介護医療院で療養を行っている患者以外の患者を指します。

訪問診療を実施するためには、その患者等の署名付きの同意書を診療録に添付する、訪問診療の計画と診療内容の要点を診療録に記載する、診療時間(開始時刻と終了時刻)と診療場所を診療録に記載することが求められます。

在宅患者訪問診療料は、1人の患者に対して1つの保険医療機関の指導管理下に継続的に行われる訪問診療の場合の在宅患者訪問診療料(T)の1と、他の医療機関の依頼を受けて訪問診療を行った場合の在宅患者訪問診療料(T)の2と、有料老人ホーム等に併設される保険医療機関が当該施設に入居している患者に対して訪問診療を行った場合の在宅患者訪問診療料(U)とに区分されます。

2 算定上の留意事項

在宅患者訪問診療料に関して、厚生局の個別指導では、医療機関に対して、例えば、@患者等の署名付きの同意書を作成していない、A診療録への訪問診療の計画や診療内容の要点の記載がない、B訪問診療を行った日のその医師のその在宅患者に対する開始時刻・終了時刻の診療時間や診療場所を記載していない、といった事項が指摘されることがありますので、手違いなどのないように、特に留意することが望まれます。

また、往診療の部分での記載と重なりますが、患者を定期的に訪問して診療を行った場合は、往診料ではなく在宅患者訪問診療料となりますので、注意が必要です。


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厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査のコラム一覧です。
往診料、在宅患者訪問診療料の他、多数のコラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

 5 保険診療での留意事項


1  診療録(カルテ)の記載と保存のルール

2  傷病名のカルテ記載とレセプト病名

3  初診料と再診料の算定ルールのポイント

4  特定疾患療養管理料と特定薬剤治療管理料1

5  診療情報提供料(T)と薬剤情報提供料

6  往診料と在宅患者訪問診療料のポイント

7  超音波検査と呼吸心拍監視のポイント

8  エックス線診断料とコンピューター断層撮影診断料

9  処方箋料とリフィル処方箋のポイント

10 皮内、皮下及び筋肉内注射と静脈内注射

11 運動器リハビリテーション料のポイント

12 リハビリテーション総合計画評価料のポイント

13 通院精神療法(精神科専門療法)のポイント

14 精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケア

15 創傷処置と皮膚科軟膏処置のポイント

16 消炎鎮痛等処置、湿布処置のポイント

17 人工腎臓(処置)の算定ルールのポイント

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