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厚生局の個別指導には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、医学管理等の特定疾患療養管理料と特定薬剤治療管理料1に関して、保険診療、診療報酬請求で個別指導を見据えて留意すべき事項のポイントをご説明します。ただし、以下は本コラム作成時点(2022年9月)のもので最新のものではなく、また、あくまで原則的なもので地域などにより運用等異なる場合がありますので、注意が必要です。
なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】厚生局の個別指導と監査
https://医科個別指導弁護士.com/ika-kobetushidou.html
特定疾患療養管理料と特定薬剤治療管理料1に関する留意事項
1 特定疾患療養管理料の算定ルールのポイント
1 特定疾患療養管理料の算定
特定疾患療養指導料は、別に厚生労働大臣が定める疾患(糖尿病、高血圧性疾患、不整脈、喘息、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎及び十二指腸炎、等々)を主病とする患者に対して、治療計画に基づき、服薬、運動、栄養等の療養上の管理を行った場合に、月2回に限り算定できます。
2 算定上の留意点
特定疾患療養指導管理料は、生活習慣病等の厚生労働大臣が別に定める疾患を主病とする患者について、プライマリケア機能を担う地域のかかりつけ医師が計画的に療養上の管理を行うことを評価したものであり、許可病床数が200床以上の病院においては算定できません。また、入院中の患者についても算定できません。
第1回目の特定疾患療養指導料は、原則として、初診料を算定した初診の日または当該保険医療機関を退院した日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定できます。ただし、1か月を経過した日が休日であって、その休日の直前の休日でない日に特定疾患療養指導料の要件を満たす場合には、その日に特定療養指導管理料を算定できます。
また、治療計画を立てている場合で必要やむを得ない場合に、看護にあたっている家族等を通して療養上の管理を行ったときでも算定できます。
厚生局の個別指導では、管理内容の要点が診療録に十分に記載されていない、または、画一的であるなどと指導されることが多いところです。現実問題として、忙しい日々の診療の中でどこまで充実した診療録・カルテ記載ができるのかという問題があるところですが、治療計画に基づく服薬、運動、栄養等の療養上の管理内容の要点を、適切に記載することが求められます。
2 特定薬剤治療管理料1の算定ルールのポイント
1 特定薬剤治療管理料1の算定
特定薬剤治療管理料1は、以下の@〜Sのものに対して投与薬剤の血中濃度を測定し、その結果に基づき当該薬剤の投与量を精密に管理した場合、月1回に限り算定できます。
@ シギリス製剤
心疾患患者であってジギタリス製剤を投与しているもの。
A 抗てんかん剤
てんかん患者であって抗てんかん剤を投与しているもの。
B 免疫抑制剤
臓器移植術を受けた患者であって臓器移植における拒否反応の抑制を目的として免疫抑制剤を投与しているもの。
C テオフィリン製剤
気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫又は未熟児無呼吸発作の患者であってテオフィリン製剤を投与しているもの。
D 不整脈用剤
不整脈の患者であって不整脈用剤を継続的に投与しているもの。
E ハロペリドール製剤又はブロムペリドール製剤
統合失調症の患者であってハロペリドール製剤又はブロムペリドール製剤を投与しているもの。
F リチウム製剤
躁うつ病の患者であってリチウム製剤を投与しているもの。
G バルプロ酸ナトリウム又はカルバマゼピン
躁うつ病又は躁病の患者であってバルプロ酸ナトリウム又はカルバマゼピンを投与しているもの。
H シクロスポリン
ベーチェット病の患者であって活動性・難治性眼症状を有するもの又はその他の非感染性ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分で、視力低下のおそれのある活動性の中間部又は後部の非感染性ぶどう膜炎に限る。)、再生不良性貧血、赤芽球癆、尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬、全身型重症筋無力症、アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者に限る。)、ネフローゼ症候群若しくは川崎病の急性期の患者であってシクロスポリンを投与しているもの。
I タクロリムス水和物
全身型重症筋無力症、関節リウマチ、ループス腎炎、潰瘍性大腸炎又は間質性肺炎(多発性筋炎又は皮膚筋炎に合併するものに限る。)の患者であってタクロリムス水和物を投与しているもの。
J サリチル酸系製剤
若年性関節リウマチ、リウマチ熱又は慢性関節リウマチの患者であってサリチル酸系製剤を継続的に投与しているもの。
K メトトレキサート
悪性腫瘍の患者であってメトトレキサートを投与しているもの。
L エベロリムス
結節性硬化症の患者であってエベロリムスを投与しているもの。
M アミノ配糖体抗生物質、等
入院中の患者であってアミノ配糖体抗生物質、グリコペプチド系抗生物質又はトリアゾール系抗真菌剤を数日間以上投与しているもの。
N トリアゾール系抗真菌剤
重症又は難治性真菌感染症又は造血幹細胞移植の患者であってトリアゾール系抗真菌剤を投与(造血幹細胞移植の患者にあっては、深在性真菌症の予防を目的とするものに限る。)しているもの。
O イマチニブ
イマチニブを投与しているもの。
P シロリムス製剤
リンパ脈管筋腫症の患者であってシロリムス製剤を投与しているもの。
Q スニチニブ
腎細胞癌の患者であって抗悪性腫瘍剤としてスニチニブを投与しているもの。
R バルプロ酸ナトリウム
片頭痛の患者であってバルプロ酸ナトリウムを投与しているもの。
S 治療抵抗性統合失調症治療薬
統合失調症の患者であって治療抵抗性統合失調症治療薬を投与しているもの。
2 算定上の留意事項
特定薬剤治療管理料1には、薬剤の血中濃度測定、その血中濃度測定に係る採血と測定結果に基づく投与量の管理に係る費用が含まれており、1月のうち2回以上血中濃度を測定した場合でも、それに係る費用は算定できません。ただし、別の疾患に対して別の薬剤を投与した場合や同一疾患について上記の@〜Sまでのうち同一の区分に該当しない薬剤を投与した場合は、それぞれ算定できます。
算定には、薬剤の血中濃度と治療計画の要点を診療録(カルテ)に添付または記載することが必要です。厚生局の個別指導においては、係る添付または記載がない、または不十分である、といった指摘が散見されますので、日常の診療において、十分注意する必要があります。
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