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ここでは、処置の人工腎臓の算定に関して、保険診療、診療報酬請求で厚生局の個別指導を見据えて留意すべき事項のポイントをご説明します。ただし、以下は本コラム作成時点(2022年9月)のもので最新のものではなく、また、あくまで原則的なもので地域などにより運用等異なる場合がありますので、注意が必要です。
なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】厚生局の個別指導と監査
https://医科個別指導弁護士.com/ika-kobetushidou.html
人工腎臓の保険診療に関する留意事項
1 人工腎臓の算定ルールのポイント
1 人工腎臓の算定
人工腎臓の算定は、⑴慢性維持透析を行った場合1、⑵慢性維持透析を行った場合2、⑶慢性維持透析を行った場合3、⑷その他の場合、以上の⑴~⑷に区分され、人工腎臓の時間等で点数が決定します。
⑴の「慢性維持透析を行った場合1」は、「慢性維持透析を行った場合1」の施設基準の届出を行った保険医療機関が算定します。
⑵の「慢性維持透析を行った場合2」も、同様に、「慢性維持透析を行った場合2」の施設基準の届出を行った保険医療機関が算定します。
⑶の「慢性維持透析を行った場合3」は、上記いずれの届出も行っていない保険医療機関において算定します。
人工腎臓には、血液透析の他、血液濾過、血液透析濾過が含まれています。人工腎臓の時間は、人工腎臓実施前後の準備、整理等の時間は含まず、シャント等から動脈血等を人工腎臓用特定保険医療材料に導き入れたときを起点として、人工腎臓用特定保険医療材料から血液を生体に返却し終えたときまでとします。
人工腎臓の時間等については、患者に対し十分な説明を行った上で、患者の病態に応じて、最も妥当なものとし、人工腎臓を行った時間(開始および終了した時間を含みます。)を診療録・カルテ等に記載します。また、治療内容の変更が必要になった場合においても、患者への十分な説明が求められます。
⑷の「その他の場合」は、次の場合に算定します。
Ⅰ 急性腎不全の患者に対して行った場合
Ⅱ 透析導入期(導入後1月に限ります。)の患者に対して行った場合
Ⅲ 血液濾過または血液透析濾過を行った場合
Ⅳ 以下の合併症または状態を有する患者(ⅳからⅹまでについては入院中の患者に限ります。)に対して行った場合であって、連日人工腎臓を実施する場合や半減期の短い特別な抗凝固剤を使用する場合等特別な管理を必要とする場合
ⅰ 重大な視力障害に至る可能性が著しく高い、進行性眼底出血(発症後2週間に限ります。)
ⅱ 重篤な急性出血性合併症(頭蓋内出血、消化管出血、外傷性出血等)(発症後2週間に限ります。)
ⅲ ヘパリン起因性血小板減少症
ⅳ 播種性血管内凝固症候群
ⅴ 敗血症
ⅵ 急性膵炎
ⅶ 重篤な急性肝不全
ⅷ 悪性腫瘍(注射による化学療法中のものに限ります。)
ⅸ 自己免疫疾患の活動性が高い状態
ⅹ 硬膜外麻酔、脊椎麻酔またはマスクまたは気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔による手術を実施した状態(手術前日から術後2週間に限ります。)
以上に該当し、⑷で算定する場合にあっては、以上のⅠからⅣまで(Ⅳについてはⅰからⅹまで)の中から該当するものを診療報酬明細書の摘要欄に記載します。
人工腎臓における血液濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症もしくは透析困難症の患者または緑内障、心包炎もしくは心不全を合併する患者について、血液透析を行った上で、その後血液濾過を実施した場合に限り算定できます。この場合の人工腎臓の費用は、⑷により算定します。
人工腎臓における血液透析濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症または透析困難症の患者について実施した場合に限り算定できます。この場合の人工腎臓の費用は、⑷により算定します。
2 人工腎臓の所定点数に含まれるもの
⑴から⑶までの場合、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤、ダルベポエチン製剤、エポエチンベータペゴル製剤およびHIF-PH阻害剤の費用は所定点数に含まれており、別に算定できません。なお、生理食塩水には、回路の洗浄・充填、血圧低下時の補液、回収に使用されるもの等が含まれ、同様の目的で使用される電解質補液、ブドウ糖液等についても別に算定できません。
⑴から⑷までの場合で人工腎臓灌流原液の希釈水の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できません。また、必要があって脱イオン(純水製造装置によります。)を行わなければ使用できない場合であっても同様です。
⑴から⑷までの場合で人工腎臓の希釈水に対してアルミニウム、フッ素、遊離塩素およびエンドトキシン等を除去する目的で逆浸透装置、活性炭フィルターおよび軟水装置を用いて水処理を行った場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できません。
⑴から⑷までの場合で人工腎臓の回路を通して行う注射料は、所定点数に含まれ、別に算定できません。。
2 算定上の留意事項
1 算定ルールの留意事項
診療報酬明細書の「摘要」欄に、人工腎臓を算定した日を記載します。
シャントを用いず、ブラッドアクセス留置用カテーテル等を用いて人工腎臓を実施したときの人工腎臓の時間は、ブラッドアクセス留置用カテーテル等から、血液を人工腎臓用特定保険医療材料に導き入れた時を起点として、人工腎臓用特定保険医療材料から血液を生体に返却し終えたときまでとなります。
人工腎臓の施設基準に該当する保険医療機関であって、その施設基準の届出を行わなかった保険医療機関は、⑶の「慢性維持透析を行った場合3」により算定します。
いわゆる人工腎臓ベッドまたは回復室は、通常医療法にいう病床に該当しないもので、透析終了後医療上の必要から患者を収容する場合は、医療法にいう病床で行うことになります。
2 厚生局の個別指導での指摘事項
人工腎臓に関して厚生局の個別指導で指摘される事項として、例えば以下の事項が挙げられますので、十分留意して下さい。
① 算定の区分を誤っている。
② 開始および終了した時間を含む人工腎臓を行った時間についての診療録・カルテ等への記載がない。
③ 人工腎臓の時間について診療録・カルテ等に記載された時間・時刻が実際の時間・時刻と異なっている。
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