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人工腎臓(処置)の算定に係る保険診療(医科)のコラムです。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険診療での留意事項(17):人工腎臓

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ここでは、処置の人工腎臓の算定に関して、保険診療、診療報酬請求で厚生局の個別指導を見据えて留意すべき事項のポイントをご説明します。ただし、以下は原則的なものであり、地域などにより運用等異なる場合がありますので、注意が必要です。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、厚生局の指導監査の基本的な流れ、実施状況など記載していますので、まずはこちらのコラム厚生局の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。


人工腎臓の保険診療に関する留意事項


 1 人工腎臓の算定ルールのポイント

1 人工腎臓の算定

人工腎臓の算定は、⑴慢性維持透析を行った場合1、⑵慢性維持透析を行った場合2、⑶慢性維持透析を行った場合3、⑷その他の場合、以上の⑴~⑷に区分され、人工腎臓の時間等で点数が決定します。

⑴の「慢性維持透析を行った場合1」は、「慢性維持透析を行った場合1」の施設基準の届出を行った保険医療機関が算定します。

⑵の「慢性維持透析を行った場合2」も、同様に、「慢性維持透析を行った場合2」の施設基準の届出を行った保険医療機関が算定します。

⑶の「慢性維持透析を行った場合3」は、上記いずれの届出も行っていない保険医療機関において算定します。

人工腎臓には、血液透析の他、血液濾過、血液透析濾過が含まれています。人工腎臓の時間は、人工腎臓実施前後の準備、整理等の時間は含まず、シャント等から動脈血等を人工腎臓用特定保険医療材料に導き入れたときを起点として、人工腎臓用特定保険医療材料から血液を生体に返却し終えたときまでとします。

人工腎臓の時間等については、患者に対し十分な説明を行った上で、患者の病態に応じて、最も妥当なものとし、人工腎臓を行った時間(開始および終了した時間を含みます。)を診療録・カルテ等に記載します。また、治療内容の変更が必要になった場合においても、患者への十分な説明が求められます。

⑷の「その他の場合」は、次の場合に算定します。
Ⅰ 急性腎不全の患者に対して行った場合
Ⅱ 透析導入期(導入後1月に限ります。)の患者に対して行った場合
Ⅲ 血液濾過または血液透析濾過を行った場合
Ⅳ 以下の合併症または状態を有する患者(ⅳからⅹまでについては入院中の患者に限ります。)に対して行った場合であって、連日人工腎臓を実施する場合や半減期の短い特別な抗凝固剤を使用する場合等特別な管理を必要とする場合
ⅰ 重大な視力障害に至る可能性が著しく高い、進行性眼底出血(発症後2週間に限ります。)
ⅱ 重篤な急性出血性合併症(頭蓋内出血、消化管出血、外傷性出血等)(発症後2週間に限ります。)
ⅲ ヘパリン起因性血小板減少症
ⅳ 播種性血管内凝固症候群
ⅴ 敗血症
ⅵ 急性膵炎
ⅶ 重篤な急性肝不全
ⅷ 悪性腫瘍(注射による化学療法中のものに限ります。)
ⅸ 自己免疫疾患の活動性が高い状態
ⅹ 硬膜外麻酔、脊椎麻酔またはマスクまたは気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔による手術を実施した状態(手術前日から術後2週間に限ります。)

以上に該当し、⑷で算定する場合にあっては、以上のⅠからⅣまで(Ⅳについてはⅰからⅹまで)の中から該当するものを診療報酬明細書の摘要欄に記載します。

人工腎臓における血液濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症もしくは透析困難症の患者または緑内障、心包炎もしくは心不全を合併する患者について、血液透析を行った上で、その後血液濾過を実施した場合に限り算定できます。この場合の人工腎臓の費用は、⑷により算定します。

人工腎臓における血液透析濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症または透析困難症の患者について実施した場合に限り算定できます。この場合の人工腎臓の費用は、⑷により算定します。

2 人工腎臓の所定点数に含まれるもの

⑴から⑶までの場合、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤、ダルベポエチン製剤、エポエチンベータペゴル製剤およびHIF-PH阻害剤の費用は所定点数に含まれており、別に算定できません。なお、生理食塩水には、回路の洗浄・充填、血圧低下時の補液、回収に使用されるもの等が含まれ、同様の目的で使用される電解質補液、ブドウ糖液等についても別に算定できません。

⑴から⑷までの場合で人工腎臓灌流原液の希釈水の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できません。また、必要があって脱イオン(純水製造装置によります。)を行わなければ使用できない場合であっても同様です。

⑴から⑷までの場合で人工腎臓の希釈水に対してアルミニウム、フッ素、遊離塩素およびエンドトキシン等を除去する目的で逆浸透装置、活性炭フィルターおよび軟水装置を用いて水処理を行った場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できません。

⑴から⑷までの場合で人工腎臓の回路を通して行う注射料は、所定点数に含まれ、別に算定できません。。

 2 算定上の留意事項

1 算定ルールの留意事項

診療報酬明細書の「摘要」欄に、人工腎臓を算定した日を記載します。

シャントを用いず、ブラッドアクセス留置用カテーテル等を用いて人工腎臓を実施したときの人工腎臓の時間は、ブラッドアクセス留置用カテーテル等から、血液を人工腎臓用特定保険医療材料に導き入れた時を起点として、人工腎臓用特定保険医療材料から血液を生体に返却し終えたときまでとなります。

人工腎臓の施設基準に該当する保険医療機関であって、その施設基準の届出を行わなかった保険医療機関は、⑶の「慢性維持透析を行った場合3」により算定します。

いわゆる人工腎臓ベッドまたは回復室は、通常医療法にいう病床に該当しないもので、透析終了後医療上の必要から患者を収容する場合は、医療法にいう病床で行うことになります。

2 厚生局の個別指導での指摘事項

人工腎臓に関して厚生局の個別指導で指摘される事項として、例えば以下の事項が挙げられますので、十分留意して下さい。

① 算定の区分を誤っている。

② 開始および終了した時間を含む人工腎臓を行った時間についての診療録・カルテ等への記載がない。

③ 人工腎臓の時間について診療録・カルテ等に記載された時間・時刻が実際の時間・時刻と異なっている。


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厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査のコラム一覧です。
人工腎臓(処置)の算定の他、多数のコラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

 5 保険診療での留意事項


1  診療録(カルテ)の記載と保存のルール

2  傷病名のカルテ記載とレセプト病名

3  初診料と再診料の算定ルールのポイント

4  特定疾患療養管理料と特定薬剤治療管理料1

5  診療情報提供料(Ⅰ)と薬剤情報提供料

6  往診料と在宅患者訪問診療料のポイント

7  超音波検査と呼吸心拍監視のポイント

8  エックス線診断料とコンピューター断層撮影診断料

9  処方箋料とリフィル処方箋のポイント

10 皮内、皮下及び筋肉内注射と静脈内注射

11 運動器リハビリテーション料のポイント

12 リハビリテーション総合計画評価料のポイント

13 通院精神療法(精神科専門療法)のポイント

14 精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケア

15 創傷処置と皮膚科軟膏処置のポイント

16 消炎鎮痛等処置、湿布処置のポイント

17 人工腎臓(処置)の算定ルールのポイント

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