サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、指導監査の対応業務を行っています。
厚生局の個別指導には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、精神科専門療法の精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケアに関して、保険診療、診療報酬請求で厚生局の個別指導を見据えて留意すべき事項のポイントをご説明します。ただし、以下は本コラム作成時点(2022年9月)のもので最新のものではなく、また、あくまで原則的なもので地域などにより運用等異なる場合がありますので、注意が必要です。
なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】厚生局の個別指導と監査
https://医科個別指導弁護士.com/ika-kobetushidou.html
精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケアに関する留意事項
1 精神科ショート・ケアの算定ルールのポイント
1 精神科ショート・ケアの算定
精神科ショート・ケアは、精神疾患を有する者の地域への復帰を支援するため、社会生活機能の回復を目的として個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人あたり1日につき3時間を標準とします。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外においてその療法を実施することも可能です。
精神科ショートケアは、「小規模なもの」と「大規模なもの」がありますが、いずれも厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に算定します。
「大規模なもの」については、多職種が共同して疾患等に応じた診療計画を作成した場合に算定します。なお、診療終了後にその計画に基づいて行った診療方法や診療結果について評価を行い、その要点を診療録・カルテ等に記載している場合には、参加者個別のプログラムを実施することができます。
精神科ショートケアは、入院中の患者以外の患者に限り算定します。精神科ショートケアを算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法(他の保険医療機関において実施するものを含みます。)は、別に算定できません。ただし、他の医療機関に入院中の患者であって、一定の要件を満たし退院を予定しているものに対しては、退院支援の一環として、その他の医療機関の入院中1回に限り算定できます。この場合、その他の医療機関に照会を行い、退院を予定しているものであること、入院料等について他医療機関を受診する場合の取り扱いがなされていること、他の医療機関を含め、入院中に精神科ショートケアの算定がないことを確認します。また、精神科ショートケアに引き続き、同一日に、患家または社会復帰施設等において精神科訪問看護・指導を行う場合は、退院後3か月以内に限り、精神科訪問看護・指導料を算定できます。
同一の保険医療機関で精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケアまたは精神科デイ・ナイト・ケア(以下「精神科デイケア等」といいます。)を開始した日から起算して1年を超える場合には、精神科ショートケアの実施回数にかかわらず、算定は1週間に5日を限度とします。ただし、週4日以上算定できるのは、以下の1〜4のいずれも満たす場合に限られます。
1 少なくとも6月に1回以上医師が精神科デイケア等の必要性について精神医学的な評価を行っている。継続が必要と判断した場合には、その理由を診療録・カルテに記載する。
2 少なくとも6月に1回以上、精神保健福祉士または公認心理士が患者の意向を聴取している。
3 精神保険福祉士等が聴取した患者の意向を踏まえ、医師を含む多職種が共同して、患者の意向および疾患等に応じた診療計画を作成している。診療計画には、短期目標および長期目標、必要なプログラム内容の実施頻度、精神科デイケア等を必要とする期間等を記載する。医師は、作成した診療計画を患者または家族等に説明し、精神科デイケア等の実施について同意を得る。
4 その保険医療機関が、@直近6月の各月について、「当該月において14回以上精神科デイケア等を実施した患者の数」を「当該月において1回以上精神科デイケア等を実施した患者の数」で除して算出した数値の平均が0.8未満である、または、A直近1か月に1回以上精神科デイケア等を実施した患者についてその保険医療機関の精神科デイケア等を最初に算定した月から当該月末までの月数の平均が、12か月未満である、以上の@Aのいずれかの要件を満たしている。
診療報酬明細書の摘要欄に、精神科デイケア等のうち最初に算定した年月日を記載します。
月14回以上精神科デイケア等を実施した患者の数等について、毎年10月に所定の様式を用いて地方厚生(支)局長に報告します。
精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケアまたは精神科ナイト・ケアの届出を併せて行っている保険医療機関にあっては、精神科ショートケアと精神科デイケアまたは精神科ナイトケアを各々の患者に対して同時に同一施設で実施できます。この場合、精神科デイケアまたは精神科ナイトケアを算定する患者は、各々に規定する治療がそれぞれ実施されている場合に限り、それぞれ実施できます。なお、同一日に実施される精神科ショートケアの対象患者数と精神科デイケアまたは精神科ナイトケアの対象患者数の合計は、精神科デイケアまたは精神科ナイトケアの届出に係る患者数の限度を超えることはできません。この場合において、精神科ショートケアの対象患者数の計算にあたっては、精神科デイケアの対象患者数の2分の1として計算します。
療法に要する消耗材料等については、その保険医療機関の負担とします。
入院中の患者が精神科ショートケアを行う場合は、対象患者数に含めます。
精神科ショートケアを行った場合は、その要点および診療時間を診療録・カルテ等に記載します。
2 算定上の留意点
精神科ショート・ケアは、精神科デイ・ケアと同一時間帯に同一場所で行うことができます。また、要件を満たす範囲で、精神科ショート・ケアの専従の従業者は、精神科デイ・ケアとの兼務も可能です。
精神科デイケアと精神科ショートケアを同時に届出し同一施設で実施している保険医療機関において、デイケアの予定で来院した患者がショートケアの時間帯のみ実施した場合、ショートケアの算定は可能です。
精神科ショートケアの「大規模なもの」を算定する際の疾患等に応じた診療計画について、所定の様式で示した内容がすべて含まれるものであれば、それぞれの医療機関の様式で差し支えありません。この診療計画は、概ね3か月以内に1度、短期目標の達成状況の評価を行い、必要に応じ、目標の修正が求められます。
「大規模なもの」について、多職種が共同して疾患等に応じた診療計画を作成した場合に算定することになりますが、診療計画に基づいてショートケアを提供するごとに、その内容や結果について従事する者すべてで評価を行いその要点を診療録・カルテ等に記載している場合は、参加者を少人数に分けてそれぞれに個別のプログラムを実施することが可能です。
精神科ショート・ケアに関して厚生局の個別指導で指摘される事項としては、例えば、@診療の要点について診療録・カルテ等への記載がない、または不十分ある(患者の個々の状態に応じた記載になっていない。)、A診療時間について診療録・カルテ等への記載がない、または不適切である、B週4日以上算定できる場合に該当しないにもかかわらず算定している、C1日につき3時間以上実施していない場合に算定している、といったものが挙げられます。誤りやすい点ですので、上記の@〜Cについて、日々の診療で十分留意して下さい。
2 精神科デイ・ケアの算定ルールのポイント
1 精神科デイ・ケアの算定
精神科デイ・ケアは、精神疾患を有するものの社会生活機能の回復を目的として個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人あたり1日につき6時間を標準とします。
精神科デイケアについても、「小規模なもの」と「大規模なもの」があり、いずれも厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に算定します。
治療の一環として治療上の目的を達するために食事を提供する場合にあっては、その費用は所定点数に含まれます。また、同一の患者に対して同一日に精神科デイケアと精神科ナイトケアを併せて実施した場合は、精神科デイ・ナイト・ケアとして算定します。
異なる部分もありますが、基本的には、精神科ショート・ケアで記載したポイントが、精神科デイ・ケアに当てはまります。
2 算定上の留意点
異なる部分もありますが、基本的には、精神科ショート・ケアで記載した留意点が、精神科デイ・ケアに当てはまります。
精神科デイ・ケアに関して厚生局の個別指導で指摘される事項としては、精神科ショート・ケアと重なりますが、例えば、@診療の要点について診療録・カルテ等への記載がない、または不十分ある(患者の個々の状態に応じた記載になっていない。)、A診療時間について診療録・カルテ等への記載がない、または不適切である、B週4日以上算定できる場合に該当しないにもかかわらず算定している、C1日につき6時間以上実施していない場合に算定している、といったものが挙げられます。日々の診療で十分留意して下さい。
厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方はお電話下さい。
指導監査への対応を弁護士がアドバイスし、同席します。