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医師の入院と中断中の個別指導の再開の延期、取消相当のコラムです。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関・保険医の取消の実例(12):医師の入院と個別指導の延期

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、指導監査の対応業務を行っています。

個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、匿名の者から支払基金を通じて厚生局に情報提供があり、個別指導を実施し診療日数の相違などから指導を中断したところ、医師が入院し、個別指導が延期され、その後、個別指導が再開され監査となり、架空請求などの理由により元保険医療機関の指定の取消相当となった実例をご紹介します。近畿厚生局の平成25年6月付けの取消相当の実例であり、説明のため、事案の簡略化等をしています。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

【コラム】厚生局の個別指導と監査
     https://医科個別指導弁護士.com/ika-kobetushidou.html



個別指導の中断中の医師の入院と指導の延期


 1 監査に至った経緯

1 匿名の者からの保険証悪用の情報提供

平成21年11月20日、匿名の者から社会保険診療報酬支払基金を通じて厚生局に対し、医院が情報提供者の家族の保険証を悪用し、実際には行っていない保険診療を行ったものとして、不正請求している旨の情報提供があった。

【コメント】
身内や親しい関係にある人物などから、その者の、またはその者の家族の保険証を悪用し、(場合により)その者またはその者の家族と結託し示し合わせて、実際には行っていないのに診療をしたことにして診療報酬を請求するという不正請求のパターンがあります。これは、一部の診療行為はしており、付け増して実際より多く診療行為をしたことにして請求するケースと、およそ診療をしていないのに診療をしたことにして請求をするパターンがあります。また、後者のケースでは、診療報酬の平均点を下げる趣旨で、低い点数で継続的に請求しているケースがあり、以上の不正請求の類型について、厚生局は認識しているものと思われます。

このようなケースについて厚生局が個別指導で確認するに至る典型的なパターンは、その保険証を利用されている(患者側も認識・結託しているケースも少なくありません。)身内や親しい関係にある方から、場合により何らかのトラブルが原因で、厚生局に情報提供・通報するパターンです。また、スタッフがそのような不正を認識しており、医院の退職などでトラブルが生じた際に、厚生局に情報提要・通報するパターンもあります。患者の住所が遠方で継続的に通院していることが明らかに不自然と考えられる場合には、審査支払機関や保険者側のチェック・事実確認がなされ、そこから厚生局に情報提供される例もあります。

本ケースでは、支払基金に対し、家族の保険証が悪用されているとの情報提供があったとのことであり、情報提供者との間で、何らかのトラブルが生じていた可能性があります。このような情報提供がなされるケースでは、情報提供者側から医院に対して、行政側に通報・情報提供した旨(する旨)の連絡・通知があることも多いと感じます。

2 個別指導の実施と中断

平成23年10月27日、個別指導を実施したところ、指導対象である患者30名のうち、7名分の診療録の持参がなかったこと、および、持参した診療録の記載内容と診療報酬明細書の診療日数とが相違していたことから、個別指導を中断した。

【コメント】
不正請求の情報提供があり、厚生局が個別指導を実施する場合でも、その情報提供から個別指導の実施まで、相応の期間があることが通常です。本ケースでは、1年11か月程度の期間がかかっています。

なお、高点数の医療機関について高点数個別指導を実施する場合に、その医療機関について情報提供が過去になされていれば、そちらについても確認しよう、というケースもあろうかと思われます。その場合は、いわゆる教育的な個別指導だけではなく、情報提供を受けた不正請求の疑義についても、指導の場で確認・チェックされることになります。

個別指導への診療録・カルテの持参を一部失念しても個別指導の目的を達したと判断し個別指導を終了してくれるケースもあるのですが、本ケースでは、7名分診療録・カルテの持参がなかったとのことであり、診療録の記載内容と診療報酬明細書の診療日数が相違しており、個別指導が終了せず中断となっています。

3 医師の入院と個別指導の延期の申出

平成23年11月28日、医師が入院したため、医師の妻から個別指導の再開について延期の申し出があった。その後、平成24年5月15日、医師から入院中であるが、個別指導には出席できる旨の申し出があった。

【コメント】
個別指導では、開設者(またはこれに代わる者)および管理者が個別指導に出席できない場合は、理由書とそれを証明できるもの(診断書等)の提出が求められます。そして、その理由が正当な理由と判断される場合は、指導が延期され、原則として年度中にあらためて個別指導が実施されます。

本ケースでは、医師が入院し、個別指導の再開について、延期が求められています。医師が病気により入院し個別指導への出席が病気により困難であれば、それを証明できるものの提出を前提に、正当な理由にあたるものと考えられます。

なお、正当な理由がなく個別指導を拒否した場合は、監査に移行することになっています。ただし、一度の拒否で即監査に移行するのではなく、厚生局において個別指導を受けるように十分に説明を行い、それでも拒否をした場合に移行するとされています。

また、上記のとおり、個別指導の「延期」であり、個別指導の実施がなくなるわけではありません。医師の入院・病気などにより個別指導が延期となった場合は、個別指導の出席ができる状況になれば、個別指導が再開されることになります。令和4年の時点では、コロナに関連して個別指導が延期となる事例が、稀ではない印象です。

4 個別指導の再開と即日の監査への移行

平成24年7月19日、個別指導を再開したところ、一部の患者について一部負担金を徴収しておらず、それらの者に対し実際には行っていない保険診療を行ったものとして、医師自らレセプトコンピュータに入力して不正請求を行っていることを認めたため、個別指導を中止し、監査要綱第3の1および2に該当するものとして平成24年7月19日、11月1日、11月7日および平成25年1月25日に監査を実施した。

【コメント】
私見ですが、個別指導を病気で延期した場合、再開後の個別指導の厚生局の取り扱いが、(若干)厳しくなる傾向を感じます。具体的には、例えば、通常であれば経過観察と思われるケースでも、再指導になりやすくなる傾向を感じます。厚生局としては、個別指導の実施を通知しており、場合により指導の対象患者も通知していることから、結果的に指導への準備の時間が他の個別指導を受けた医療機関より長くあることになり、そこで、(若干)厳しく判断することになるのかもしれません。

本ケースでは、医師が入院のため中断中の個別指導の延期を申し出て、その後、平成24年5月15日、医師から入院中であるが個別指導に出席できる旨の申し出があり、平成24年7月19日に延期されていた個別指導が再開され、その日のうちに、即日、監査に移行しています。厚生局としては、事前に、個別指導を再開しその日に監査に移行することを判断していたものと思われます。

 2 取消相当の理由と不正・不当金額

1 取消相当の主な理由

第一に、架空請求であり、実際には行っていない保険診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。

第二に、付増請求であり、実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。

第三に、振替請求であり、実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。

第四に、診療録・カルテの不記載であり、診療録・カルテに記載されていないにもかかわらず、診療報酬を不正に請求していた。

第五に、自己診療請求であり、請求することができない自己診療に係る診療報酬を不正に請求していた。

第六に、初・再診料および医学管理等の不当請求であり、算定要件を満たさない初・再診料および医学管理等の診療報酬を不当に請求していた。

【コメント】
保険証を悪用し実際に行っていない保険診療を行ったものとして請求する場合、その患者の保険診療をその月に一度でも行っていた場合は付け増し請求に分類され、その月に一度も行っていない場合は架空請求に分類されます(レセプト単位で判断します。)。

架空請求は、不正請求のなかでも特に重く判断されるものであり、架空請求がある医療機関は、付け増し請求など、他の不正請求も行われていることが稀ではありません。厚生局が架空請求を複数把握した場合は、架空請求の経緯・内容等にもよりますが、厳しい対応で臨んできます。

2 不正・不当の金額

平成19年1月から平成23年6月までについて、レセプト221件47名分で283万9250円の不正請求が、レセプト90件17名分で30万971円の不当請求が、監査で判明しています。


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厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査のコラム一覧です。
医師の入院と個別指導の延期の実例の他、多数コラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

4  死亡した患者の診療報酬不正請求

5  コンタクトレンズの不正請求

6  鍼灸院・接骨院との不正請求

7  厚生局の監査の拒否、監査欠席

8  カルテの追記、改ざん、書き換え

9  無診察処方、無診察投薬の不正請求

10 施設基準の虚偽の届出、虚偽の報告

11 診療日数の水増しでの不正請求

12 医師の入院と中断中の個別指導の延期

13 医師の名義貸しでの新規個別指導の中断

14 医師の無診察の不正請求

15 医師の無診察治療での個別指導

16 再指導の個別指導からの監査

17 刑事事件の有罪判決(詐欺)での取消相当

18 訪問看護ステーションの個別指導

19 子供の診療での不正請求

20 14日後の処方箋の情報提供での個別指導

21 精神科デイ・ケアの施設基準の不正請求

22 情報提供での新規個別指導からの監査

23 後発医薬品を先発医薬品とする不正請求

24 健康診断での不正請求の情報提供

25 東北厚生局(宮城県)の個別指導、監査

26 近畿厚生局(大阪府)の個別指導、監査

27 病院での適時調査からの個別指導、監査

28 架空請求の情報提供での個別指導、監査

29 訪問診療での不正請求の情報提供、通報

30 個別指導の欠席での厚生局の監査

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

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