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子供の診療の不正請求での個別指導、監査(医科)のコラムです。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関・保険医の取消の実例(19):子供の診療での不正請求

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ここでは、子供の診療についての不正請求の情報提供が親である患者からあり、個別指導が実施され、中断、監査となり、架空請求、付増請求により保険医療機関の指定の取消となった実例をご紹介します。近畿厚生局の令和元年7月付けの取消の実例であり、説明のため、事案の簡略化等をしています。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

【コラム】厚生局の個別指導と監査
     https://医科個別指導弁護士.com/ika-kobetushidou.html



子供の診療の不正請求(架空請求・付増請求)の実例


 1 監査に至った経緯

1 親の患者からの子供の不正請求の情報提供

平成27年8月28日、患者から近畿厚生局に対し、自分しか受診していないにもかかわらず、処方された薬剤の大半について、一緒に連れて行ったが診療を受けていない子供に処方されたものとして保険請求され、親子二人分の領収証が交付された旨の情報提供があった。

その理由を尋ねたところ、大人は3割負担だが、子供だと2割負担で、さらに乳幼児医療証を使うと500円になるので、大人の診察代を安くするために、親子二人分の領収証を発行したと当該医療機関の事務員から説明を受けたとのことであった。

【コメント】
本ケースは、患者から、自分の子供について不正請求がなされているとの具体的な情報提供がなされています。

子供の診療については、自治体などにより、一部負担金が無料であるケースなどがあり、患者側の自己負担がないなどのため、不正請求が行われやすいといえます。すなわち、無料であれば、患者としても、不正請求がなされていても自己負担の増額がないため、気にならず、費用のチェックがなされない側面があるためです。そのことは厚生局・保険者側も認識しており、いわゆる付増請求がなされていないか、架空請求がなされていないか、特に子供の診療について傾向的に他の診療所の診療に比して違和が生じている場合は、入念にチェックされるものと考えられます。

このような不正請求は、本来的には、一部負担金が生じない場合も明細書の発行が義務付けられており、それによって不正が抑制される仕組みとなっていますが、そもそも明細書の発行をしていない医療機関があり、そういった医療機関で、このような不正がなされているケースがあります。

明細書の発行がなされていない医療機関については、それ自体が療養担当規則の違反と思われますが、厚生局としては、付け増し請求などの不正請求が行われていないか、疑義が深まる側面があるかもしれません。

2 個別指導での不正請求の自認と指導の中断

平成29年7月19日、個別指導を実施したところ、医師から、不正請求を認める旨の発言があったものの、具体的な患者名及び請求内容等について明確な回答がなかったことから、個別指導を中断した。

【コメント】
本ケースでは、情報提供が平成27年8月にあったにもかかわらず、平成29年7月に個別指導が実施されており、情報提供から個別指導の実施まで、およそ2年間の期間がかかっています。指導監査の実際では、このように、不正請求の情報提供から個別指導の実施まで、相応の期間がかかることが稀ではないと感じます。高点数ではなく情報提供により個別指導となったと思われる場合は、かなり昔の情報提供の可能性も検討・想定すべきことになります。

個別指導のきっかけとなった情報提供に関する一つの手がかりとして、個別指導で要求される持参物の対象期間がありますので、要求された指導の持参物について、慎重に検討することが肝心です。

3 不正請求の再度の自認と監査への移行

平成29年12月14日、再開した個別指導において、患者に対して処方した薬剤について、公費で一部負担金が安くなる当該患者の子供に処方したことにしたり、審査支払機関で査定されるおそれが強い薬剤について、別の薬剤に振り替えたりして診療報酬を不正に請求していたことを、医師が改めて認めたことから、個別指導を中止し、平成30年1月31日から同年12月17日まで計12日間の監査を実施した。

【コメント】
医師が子供の診療の不正請求を認め、監査となっています。

情報提供で保険医療機関に個別指導が実施され、中断となり、再開後の個別指導が実施され、個別指導が中止となり、監査となる流れは、典型的な監査への流れとなります。

 2 取消の理由と不正・不当金額

1 取消の主な理由

第一に、架空請求であり、実際には行っていない保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。第二に、付増請求であり、実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。

【コメント】
典型的には、子供の診療での不正請求は、行った診療に真実は行っていない診療を行ったことにしてレセプトに付け増す付増請求が多い印象です。

無料だから良いだろうと、診療を付け増すことはしてはいけませんし、一部負担金がない無料の場合であっても、明細書を発行し患者に交付することが必要です。

2 不正・不当の金額

平成25年2月から平成29年7月までについて、レセプト74件21名分で120万3150円の不正請求が、レセプト76件6名分で42万1840円の不当請求が、監査で確認されています。


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厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査のコラム一覧です。
子供の診療での不正請求の実例の他、多数コラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

4  死亡した患者の診療報酬不正請求

5  コンタクトレンズの不正請求

6  鍼灸院・接骨院との不正請求

7  厚生局の監査の拒否、監査欠席

8  カルテの追記、改ざん、書き換え

9  無診察処方、無診察投薬の不正請求

10 施設基準の虚偽の届出、虚偽の報告

11 診療日数の水増しでの不正請求

12 医師の入院と中断中の個別指導の延期

13 医師の名義貸しでの新規個別指導の中断

14 医師の無診察の不正請求

15 医師の無診察治療での個別指導

16 再指導の個別指導からの監査

17 刑事事件の有罪判決(詐欺)での取消相当

18 訪問看護ステーションの個別指導

19 子供の診療での不正請求

20 14日後の処方箋の情報提供での個別指導

21 精神科デイ・ケアの施設基準の不正請求

22 情報提供での新規個別指導からの監査

23 後発医薬品を先発医薬品とする不正請求

24 健康診断での不正請求の情報提供

25 東北厚生局(宮城県)の個別指導、監査

26 近畿厚生局(大阪府)の個別指導、監査

27 病院での適時調査からの個別指導、監査

28 架空請求の情報提供での個別指導、監査

29 訪問診療での不正請求の情報提供、通報

30 個別指導の欠席での厚生局の監査

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

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