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14日後の処方箋の不正請求の情報提供での厚生局の個別指導(医科)の実例です。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関・保険医の取消の実例(20):14日後処方箋の不正請求

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個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、患者の家族から、処方箋の交付日が14日後になっているなどとの情報提供が厚生局にあり、個別指導が実施され、中断、監査となり、付増請求により元保険医療機関の指定の取消相当となった実例をご紹介します。近畿厚生局の令和元年9月付けの取消相当の実例であり、説明のため、事案の簡略化等をしています。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

【コラム】厚生局の個別指導と監査
     https://医科個別指導弁護士.com/ika-kobetushidou.html



14日後の処方箋の不正請求の情報提供での個別指導の実例


 1 監査に至った経緯

1 14日後の日付けの処方箋の情報提供

平成29年8月3日及び同月17日、医院を受診した患者の家族から近畿厚生局兵庫事務所に対し、慢性疾患で月に1回受診し、その際に14日分の薬剤の処方せんを2枚もらっているが、2枚のうち1枚は交付日が14日後の日付になっている旨の情報提供があった。

【コメント】
未到来の将来の日付けの処方箋での不正請求の情報提供が、患者の家族からなされています。将来の日付けの処方箋の交付があれば、患者側としても、これはなんだろうと不信に思うなどの可能性が十分ありますし、処方箋を受け付ける薬局においても、重大な問題があることを認識することが想定されます。

本ケースの処方箋の不正は、処方箋に係る典型的な不正であり、処方箋の不正に関連して、その日に診療していないのにその日に診療をしたことにして請求をするといういわゆる付け増し請求(場合により架空請求)などの不正請求がなされる傾向があります。

クリニック・医療機関側としては、未到来の将来の日付けの処方箋について、患者の便宜のための対応などとの主張がなされることもありますが、認められていない処方箋は認められませんので、ルールに則って対応する必要があります。なお、この類型の不正請求においては、処方箋を受け付けた薬局側の対応等も問題となり得るため、関連して薬局も個別指導、監査などとなるケースがあります。

2 個別指導での不正請求の自認、個別指導の中断

平成30年1月19日、個別指導を実施し、上記の情報提供内容について確認したところ、当該保険医療機関の開設管理者である保険医から、複数の慢性疾患の患者について、実際には月に1回しか来院していないにもかかわらず、来院日に加え14日程度経過した日に診療したものとして、診療報酬を不正に請求していた旨の申述があった。

このことから、当該保険医療機関では複数の患者について、実際には行っていない保険診療を行ったものとし、診療報酬を不正に請求していた疑いが生じたものの、指導対象患者の診療録を持参しておらず、上記の疑義の詳細が確認できないことから個別指導を中断した。

【コメント】
処方箋の不正に係る情報提供に基づき個別指導が実施され、その結果、その保険医療機関の開設者・管理者である保険医が、来院していない日に来院し診療していたことにして診療報酬を不正に請求していたことを認めています。これは、情報提供のあった処方箋の不正に対応する不正請求と考えられます。

なお、本ケースでは、医師が個別指導に指導対象患者のカルテを持参しておらず、そうなりますと、個別指導がその日に終えられずに中断となるなどの可能性が高まり、監査となる可能性が高まるものと思料します。個別指導では、厚生局が求めた持参物について、クリニック側で適切に準備し当日持参することが、良い結果のために重要と思われます。

3 個別指導中断中の保険医療機関の廃止

平成30年1月31日、当該保険医療機関から同月23日を廃止日とする保険医療機関廃止届が提出された。

【コメント】
個別指導の実施日をひかえ、または個別指導が中断して個別指導の中断中に、院長の判断などで、医療機関を廃止し閉院し、保険医療機関としても廃止することがあります。

個別指導で医師にかかるプレッシャーは相当なものであり、体調を崩してしまう医師もおり、再指導での個別指導を含めた個別指導をひかえて診療所を廃止する保険医療機関は稀ではないという印象です。

クリニックを廃止し保険医療機関を廃止した場合、廃止した後は、個別指導は実施されなくなる(中断中のものは再開されなくなる)ことが本コラム作成時点では通例と思われます。もっとも、厚生局としては、不正請求の疑義などが生じている場合は、元保険医療機関等に対し監査を実施することはできますし、厚生局の判断で、診療報酬請求について確認をしたいなどと面談を求めるなどするケースもあり得ます。

4 監査の実施

以上のことから、平成30年3月16日から平成31年2月1日まで計8日間の監査を実施した。

【コメント】
開設者・管理者の医師が個別指導で不正請求を認めており、厚生局において不正請求の疑義が生じており、元保険医療機関等に対する監査の実施に至っています。

 2 取消相当の理由と不正請求金額

1 取消相当の主な理由

近畿厚生局の公表資料によれば、監査において判明した取消相当の理由となる主な事実は、以下のとおりです。

付増請求:
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。

【コメント】
未到来の将来の日付け(14日後の日付け)の処方箋での不正請求がなされた場合、典型的には、診療所において、その未到来の処方箋に対応する将来の診療を行ったことにして診療報酬を不正に請求することになり、本ケースでの付け増し請求は、これにあたるものと推測されます。

本件に係る未到来の将来の日付の処方箋の発行は、本件で患者の家族から厚生局が情報提供されているように、関係者もおかしいと気付くことが多いでしょうし、重大な不正にあたります。医師においては、処方箋について、ルールに則り、適切に対応することが必要です。

2 不正請求金額

平成29年4月から平成29年9月までについて、レセプト144件33名分で45万6933円の不正請求が、監査で判明しています。


厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方はお電話下さい。
指導監査への対応を弁護士がアドバイスし、同席します。


厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査のコラム一覧です。
14日後の処方箋の情報提供での個別指導の実例の他、多数コラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

4  死亡した患者の診療報酬不正請求

5  コンタクトレンズの不正請求

6  鍼灸院・接骨院との不正請求

7  厚生局の監査の拒否、監査欠席

8  カルテの追記、改ざん、書き換え

9  無診察処方、無診察投薬の不正請求

10 施設基準の虚偽の届出、虚偽の報告

11 診療日数の水増しでの不正請求

12 医師の入院と中断中の個別指導の延期

13 医師の名義貸しでの新規個別指導の中断

14 医師の無診察の不正請求

15 医師の無診察治療での個別指導

16 再指導の個別指導からの監査

17 刑事事件の有罪判決(詐欺)での取消相当

18 訪問看護ステーションの個別指導

19 子供の診療での不正請求

20 14日後の処方箋の情報提供での個別指導

21 精神科デイ・ケアの施設基準の不正請求

22 情報提供での新規個別指導からの監査

23 後発医薬品を先発医薬品とする不正請求

24 健康診断での不正請求の情報提供

25 東北厚生局(宮城県)の個別指導、監査

26 近畿厚生局(大阪府)の個別指導、監査

27 病院での適時調査からの個別指導、監査

28 架空請求の情報提供での個別指導、監査

29 訪問診療での不正請求の情報提供、通報

30 個別指導の欠席での厚生局の監査

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

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