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病院で厚生局の適時調査から個別指導、監査となった実例です。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関・保険医の取消の実例(27):病院の適時調査、個別指導

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、指導監査の対応業務を行っています。

個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、病院での適時調査に関し勤務表・タイムカード等の作り替えの情報提供があり、厚生局の適時調査、個別指導、監査となり、施設基準の届出に係る不正請求などにより指定の取消相当となった病院の実例をご紹介します。東海北陸厚生局の令和3年8月付けの取消相当の実例であり、説明のため、事案の簡略化等をしています。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

【コラム】厚生局の個別指導と監査
     https://医科個別指導弁護士.com/ika-kobetushidou.html



病院の適時調査からの個別指導、監査の実例


 1 監査に至った経緯

1 病院適時調査の翌日の厚生局への情報提供

平成28年8月31日に東海北陸厚生局石川事務所に対し、同月30日に適時調査を受けた病院について、病棟の看護師が不足しており、勤務表、タイムカード、病棟管理日誌等を作り替えていた旨の情報提供があった。

【コメント】
病院では、厚生局により、適時調査が実施されますが、本ケースでは、適時調査にあたり勤務表、タイムカード、病棟管理日誌等を作り替えたとの情報提供が適時調査の翌日に厚生局になされており、これは、その内容と時期からして、病院の内部者からの情報提供・通報であろうと思われます。

2 適時調査の実施、関係資料の確認

平成29年9月5日、適時調査を実施し、平成28年8月30日に実施した適時調査の事前提出資料として提出された平成28年7月分の勤務表及び様式9(病棟の看護要員の勤務時間等を計上した届出書類)と 、看護記録等を突合したところ、複数の看護要員の氏名が相違していることや検査部等に所属している職員が、勤務表及び様式9では病棟勤務として記載されていることが判明した。

【コメント】
情報提供があり、病院の診療報酬請求について不正請求の疑義が生じていたものと思われますが、厚生局は、初手で係る病院への個別指導を実施するのではなく、情報提供から約1年後に適時調査を実施し、その際に、関係書類の精査を行っています。

本ケースのように、厚生局は、情報提供を受けたからといって必ず直ちに個別指導を実施するというわけではなく、提供を受けた情報提供の内容や信ぴょう性などを勘案しつつ、対応を判断しているものと考えられます。

3 病院事務長の改ざんの自認、適時調査の中断

このことについて、当時の事務長に確認したところ、勤務表及び様式9の改ざんを認め、改ざん前の勤務表の提出があったことから、平成28年6月17日に届出された療養病棟入院料1及び回復期リハビリテーション病棟入院料2の届出が虚偽である疑いが生じたため適時調査を中断した。

【コメント】
疑義について病院の事務長に確認し、事務長が改ざんを認め、病院の適時調査の中断に至っています。看護師の配置が施設基準の要件を満たしておらず、それが書類の作り替えなどを伴うものであれば、厚生局としては、厳格に対応するものと考えられます。

4 病院への個別指導の実施、個別指導の中断

平成30年2月22日、個別指導の実施及び適時調査の再開を行い、先に提出された様式9の確認をしたが、多数の計算誤りがあったことから、再提出を指示し、個別指導及び適時調査を中断した。

【コメント】
当該病院について、厚生局の個別指導の実施に至っていますが、様式9の再提出が指示され、個別指導・適時調査の中断に至っています。

病院について個別指導を実施し、個別指導の中断に至っており、経緯から推測しますと、厚生局としては、この時点で、監査の可能性を念頭に関係資料の精査などを図っていたものと考えられます。

5 関係書類の精査、個別指導の中止、監査の実施

適時調査の中断後に提出された様式9等に基づき確認したところ、平成27年1月14日、平成28年8月30日及び平成29年9月5日の適時調査について、病棟に勤務していない職員を病棟に勤務している看護要員として様式9等を作成し、適時調査を受けていたことが確認された。

また、平成26年度から平成29年度の定例報告について、事実と異なる内容で報告されていることが確認された。

さらに、平成28年6月17日に届出された療養病棟入院基本料1及び回復期リハビリテーション病棟入院料2の平成28年7月の様式9について、改ざんした勤務表の勤務計画から様式9を作成して届け出ていることが確認された。

以上のことから 、施設基準の虚偽の届出による不正請求の疑義が濃厚となったので 、個別指導及び適時調査を中止し、監査を実施した。

【コメント】
病院への個別指導、適時調査の中断後、厚生局の精査の結果、事実と異なる内容での厚生局への報告等が確認され、施設基準に係る不正請求の疑義が濃厚となり、監査の実施に至っています。

 2 取消相当の理由と不正請求額

1 取消相当の主な理由

東海北陸厚生局の公表資料によれば、監査において判明した取消相当の理由となる主な事実は、以下のとおりです。

施設基準の届出での不正請求:
夜勤の看護要員の配置が施設基準の要件を満たしていないにもかかわらず、実際の勤務実態とは異なる勤務時間等を記載した届出を行い、診療報酬を不正に請求していた。

不正請求の一部負担金の受領:
不正請求分に係る一部負担金を受領していた。

看護職員配置数等の事実と異なる報告:
月平均1日看護職員配置数、 月平均1日看護補助者配置数及び1日平均入院患者数について事実と異なる報告を行っていた。

【コメント】
監査の結果、病院について当初に情報提供があった不正内容に沿った内容で、取消相当とされています。

看護職員の配置に関する施設基準の不正は、病院での典型的な不正請求の1つというべきであり、病院開設者・病院関係者においては、このような不正のないよう、適切に管理・運営することが求められます。

なお、本ケースでは、当初、令和3年2月付けで令和4年1月を取消年月日とする取消処分が病院に対しなされていましたが、令和3年7月付けで当該病院から保険医療機関の廃止届が提出されたため、取消処分が令和3年8月付けで取消相当の取扱いと改められています。

2 不正請求額

平成25年9月から平成30年8月までについて、レセプト950件261名分で1億5907万2267円の不正請求が、監査で判明しています。


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指導監査への対応を弁護士がアドバイスし、同席します。


厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査のコラム一覧です。
病院の適時調査、個別指導、監査の実例の他、多数コラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

4  死亡した患者の診療報酬不正請求

5  コンタクトレンズの不正請求

6  鍼灸院・接骨院との不正請求

7  厚生局の監査の拒否、監査欠席

8  カルテの追記、改ざん、書き換え

9  無診察処方、無診察投薬の不正請求

10 施設基準の虚偽の届出、虚偽の報告

11 診療日数の水増しでの不正請求

12 医師の入院と中断中の個別指導の延期

13 医師の名義貸しでの新規個別指導の中断

14 医師の無診察の不正請求

15 医師の無診察治療での個別指導

16 再指導の個別指導からの監査

17 刑事事件の有罪判決(詐欺)での取消相当

18 訪問看護ステーションの個別指導

19 子供の診療での不正請求

20 14日後の処方箋の情報提供での個別指導

21 精神科デイ・ケアの施設基準の不正請求

22 情報提供での新規個別指導からの監査

23 後発医薬品を先発医薬品とする不正請求

24 健康診断での不正請求の情報提供

25 東北厚生局(宮城県)の個別指導、監査

26 近畿厚生局(大阪府)の個別指導、監査

27 病院での適時調査からの個別指導、監査

28 架空請求の情報提供での個別指導、監査

29 訪問診療での不正請求の情報提供、通報

30 個別指導の欠席での厚生局の監査

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

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