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無診察の不正請求での医科の個別指導、中断、監査、取消のコラムです。厚生局の個別指導、監査は、医師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関・保険医の取消の実例(14):医師の無診察での不正請求

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、指導監査の対応業務を行っています。

個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、厚生局に不正請求の文書での情報提供があり、個別指導が実施され、不正請求の疑義が解消されず患者調査、監査がなされ、無診察での治療の不正請求などの理由により保険医療機関の指定の取消となった実例をご紹介します。中国四国厚生局の平成30年10月付けの取消の実例であり、説明のため、事案の簡略化等をしています。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

【コラム】厚生局の個別指導と監査
     https://医科個別指導弁護士.com/ika-kobetushidou.html



医師の無診察の不正請求での個別指導、監査


 1 監査に至った経緯

1 文書による不正請求の情報提供

平成24年12月、匿名の者から中国四国厚生局に対し不正な請求をしている旨の情報提供が文書により寄せられた。

【コメント】
厚生局が情報提供を受ける場合、匿名での情報提供もありますが、実名での情報提供もあり、また、口頭での情報提供もあれば、文書での情報提供もあります。

情報提供の重みとしては、総合的に判断されるものの、匿名よりも実名の方が、また、口頭より文書の方が、通常は重く扱われることが多いと思われます。

本ケースでは、匿名の者から文書で情報提供があり、それが指導監査の端緒となっています。匿名にもかかわらず厚生局の個別指導の実施に至っていることから、文書の内容等から、信ぴょう性が高く真実であれば悪質であり確認の必要性が高いと判断されたものと考えられます。

情報提供された具体的な不正請求の内容は明らかにされていませんが、取消理由である無診察の不正請求に関する情報提供であった可能性が十分あります。なお、情報提供に対する厚生局の判断・対応については、医科の事例・ケースはもちろん、情報提供での歯科の個別指導等の事例・ケースも参考になるものと考えられます。

2 個別指導の実施、指導の中断

平成26年1月30日、個別指導を実施したところ、情報提供の内容に係る疑義が解消されなかったため個別指導を中断した。

【コメント】
厚生局が個別指導を実施し、情報提供で確認したい事項に係る不正請求の疑義が解消しなかった場合、個別指導が中断とされ、後日に再開等される流れとなることがしばしばあります。

個別指導が中断となる場合、持参したカルテ(診療録)や日計表などの資料のコピーを求められることがあります。厚生局としては、具体的な中断の経緯などによりけりですが、多くのケースでは、いったん中断し、必要に応じ資料の精査や患者調査などを行った上で、監査への移行を判断しているものと思われます。

なお、医師が不適切な請求を認めれば必ず中断になるかというとそうではなく、厚生局としては、その不適切の程度や認めた経緯など総合的に勘案し、中断の要否を判断しているものと思われます。

3 個別指導の再度の中断

平成26年9月25日、個別指導を再開したが、情報提供の内容に係る医師の関与に関して明確な回答がなかったため、再度、個別指導を中断した。

【コメント】
本ケースでは、個別指導が1月に中断し9月に再開されており、中断から再開まで8か月の期間を要しています。もっと早期に再開されるケースが多いと感じますが、本ケースのように、個別指導の再開までかなりの期間がかかることも稀ではありません。

再開後の個別指導がさらに中断した場合、再度の中断の理由にもよりますが、経験的には、個別指導が(後に)中止となり監査へ移行することが多い印象です。

4 患者調査の実施、監査への移行

患者調査を実施したところ、診療報酬請求に関して不正または著しい不当が強く疑われたことから個別指導を中止し、平成26年12月から平成29年1月まで計11回の監査を実施した。

【コメント】
患者調査の実施は、一回目の個別指導の中断後に行われることが多い印象です。本ケースでは、2回目の中断後に患者調査が実施されており、その観点からすると、厚生局としては、2回目の個別指導の実施の時点では、監査の実施の有無について、どちらもあり得る(2回目の個別指導を中断せず終了し監査へ移行しないケースもあり得る)と判断していた可能性があろうかと思料します。

 2 取消の理由と不正・不当金額

1 取消の主な理由

第一に、無診察などでの不正請求であり、保険診療と認められないものを、保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。
・診察せず、院外処方せんを発行し診療報酬を不正に請求していた。
・診察せず、無資格者が院外処方せんを発行し診療報酬を不正に請求していた。
・自己診療及び家族に行った診療を別の従業員に保険診療したものとして診療報酬を不正に請求していた。

第二に、不当請求であり、算定要件を満たさない診療報酬を不当に請求していた。

【コメント】
無診察の不正請求は、いわゆる架空請求・付増請求と親和性が高い不正請求と考えられます。無診察での不正請求の態様も種々あり得るところですが、いずれにせよ、ルールに則り、きちんと診察して保険請求することが肝心です。

2 不正・不当の金額

不正請求が13名分で135万2442円、不当請求が17名分で288万4278円、監査で判明しています。

なお、監査で判明した分以外についても不正・不当請求のあったものについては、平成21年12月以降のものを自己点検のうえ、保険者等へ返還させることとされています。


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厚生局の個別指導、監査のコラム


指導監査のコラム一覧です。
無診察の不正請求での個別指導の実例の他、多数コラムがございます。
個別指導や監査の際に、また日常の運営にご活用いただければ幸いです。

 1 個別指導と監査の対応法


1  厚生局の個別指導と監査


 2 保健医療機関・保険医の取消の実例


1  厚生局の情報提供での個別指導

2  厚生局の振替請求での監査

3  患者からの不正請求の情報提供

4  死亡した患者の診療報酬不正請求

5  コンタクトレンズの不正請求

6  鍼灸院・接骨院との不正請求

7  厚生局の監査の拒否、監査欠席

8  カルテの追記、改ざん、書き換え

9  無診察処方、無診察投薬の不正請求

10 施設基準の虚偽の届出、虚偽の報告

11 診療日数の水増しでの不正請求

12 医師の入院と中断中の個別指導の延期

13 医師の名義貸しでの新規個別指導の中断

14 医師の無診察の不正請求

15 医師の無診察治療での個別指導

16 再指導の個別指導からの監査

17 刑事事件の有罪判決(詐欺)での取消相当

18 訪問看護ステーションの個別指導

19 子供の診療での不正請求

20 14日後の処方箋の情報提供での個別指導

21 精神科デイ・ケアの施設基準の不正請求

22 情報提供での新規個別指導からの監査

23 後発医薬品を先発医薬品とする不正請求

24 健康診断での不正請求の情報提供

25 東北厚生局(宮城県)の個別指導、監査

26 近畿厚生局(大阪府)の個別指導、監査

27 病院での適時調査からの個別指導、監査

28 架空請求の情報提供での個別指導、監査

29 訪問診療での不正請求の情報提供、通報

30 個別指導の欠席での厚生局の監査

 3 個別指導の手続きの概要


1  個別指導の対象医療機関の選定基準、選定方法

2  個別指導の実施通知、出席者、指導対象患者

3  個別指導当日の指導方法、弁護士の帯同、録音

4  個別指導の結果の通知、改善報告書、自主返還

 4 新規個別指導の手続きの概要


1  厚生局の新規個別指導

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